第３７話

マルチ「あっ、見えてきましたよアルスさん！あのテントじゃないですか？！」
アルス「ほふぅ〜…南さん萌え〜」
マルチ「はれれっ？ア、アルスさーん？」
アルス「南さ〜ん…」
マルチ「ど、どうしちゃったんですかアルスさん？！」
メルビ「うむ、どうやら今までプレイしてなかった［こみっくパーティ］をプレイしたらしいのでござるが…」
アルス「ああ、近年ここまでギャルゲーに萌えたのは久々だ…知ってるか？人間の体を構成するモノの９８％は南さん萌えなんだぞ？」
メルビ「水でござるか…」
アルス「そう！水のように南さん萌えがそこにあるのは自然なことなんだ！日本じゃ、安全と南さん萌えはタダなんだよ！」
ガボ　「ダメだこりゃ」
アルス「南さんＳＳ書きたいなぁ…ネットに泣ける南さんＳＳあってさぁ…」
マルチ「うあーん！そんな事してたら、また更新が滞っちゃいますよ〜！」
メルビ「やれやれ、アルス殿、そろそろ次のステージ、ユバールのテントに行くでござるよ」
アルス「おっと、そうだったな。次は詠美ちゃん様をプレイだった！」

エイミ「えっ？！アタシって未プレイだったの？！」
チェリ「だから、詠美ちゃんってより、菫川ねねねセンセみたいだったんだね」

ガボ　「うおっ？！過去から電波がきたぞ？！」
メルビ「これでは進まんでござるな…強制場面転換でござる！サイバトロンマークからデストロンへ！」
アルス「後、スクライドいいぞ〜！ストレイト＝クーガー萌え〜」
マルチ「ええっ？！シェリス＝アジャーニさんじゃないんですか？！」
アルス「おっ、良いツッコミだ」

ちゃらららーん、らっ！←転換効果音


ユバールの休憩地
アルス「（ちゃっちゃからっちゃっちゃーん）…おう、この音楽…変わってないなぁ、ユバール」
ガボ　「なんか、前来たときと同じ状況みてーだぞ…そういえば、昔のユバールに行ったときには、アスカとキーファがいたんだよな…」
アルス「ああ…キーファの奴…どうなったのかな…」
メルビ「キーファ殿…たしかアルス殿の友人で、過去のユバールに残ったのでござるな」
アルス「…何のかんの言っても、アイツは親友だったからな。色々悪いこともしたものさ」
マルチ「アルスさんは、今でも悪いコトしてますけどね」
アルス「ほぅ…なんだかツッコめる様になってきたじゃないかマルチ」
マルチ「それはもう！このマルチ、経験学習型のからくりメイドですから！（えっへん）」
アルス「…だが、マルチにツッコまれる様になっちゃ、人間お終いだな」
マルチ「がぁーーーん！…ひ、酷い…」
メルビ「とにかく、野営地の中に入ってみるとするでござる」

民人　「…おや？こんな所に旅人とは珍しい！本来なら、旅人は丁重にもてなすのがユバールのしきたりなのですが、今は大切な儀式の最中でして」
アルス「…もしかして今夜は、神の踊り手の儀式ですか？」
民人　「え？！何でアンタそんな事知ってるんだい？！」
アルス「昔、ユバールの人達と旅をしたことがありましてね」
民人　「へぇ。ま、確かに今日はアイラが１０代目の神の踊り手になるための儀式さ！…おや、終わったみたいだね…でも、随分早いような？（どんっ）どわぁっ？！」

　　　　その時、テントから黒髪の女性が凄い勢いで飛び出していった！

族長　「アイラ、待ちなさい！儀式はまだ終わっておらんぞアイラ！…行ってしまいおったか…まったく、困ったモノじゃ」
民人　「あっちゃ〜…やっぱりなぁ…アイラの奴、てんで乗り気じゃなかったもんなぁ」
族長　「何がやっぱりじゃ！…ん？そちらの方々は？」
アルス「お初にお目にかかります族長殿。私はアルスと申す者で、こちらは旅の仲間です」
族長　「これはお恥ずかしいところを見られましたな…今の娘はアイラと申しまして、新たなる神の踊り子になる為の儀式の最中だったのですが…何が気に入らないのか飛び出していってしまいましてな…一族の代表たる踊り手を名誉に思わんとは、これも時代と言う奴かのぅ」
民人　「まぁ、この平和なご時世に、何百年も前の掟を守れなんて言っても、今の若い者にはどだい無理な話ですよ」
族長　「折角ワシ自らトゥーラを弾いてやっているというのに…」
民人　「（此処だけの話、アイラはきっと、族長のトゥーラが気に入らないんだよ。微妙な音のズレとか）」
ガボ　「（確かに、ジャンのトゥーラの方が断然上手かったよな、アルス？）」
族長　「なんじゃ、言いたいことがあるのか？！」
民人　「いえ何でも！」
族長　「うむむ、大泉逸郎の［孫］、会心の出来じゃったというに」
全員　「「そんな曲で踊りが踊れる訳あるかい！！」」
族長　「ふん…わかっとるわい…あの娘が、伝説のトゥーラの弾き手を探しに行きたがってることもな…」
ガボ　「なぁ、アルス、やっぱりジャンが出てっちまってから、弾き手って居なくなっちまったんだな」
族長　「何と？！何故そんなことを知っていらっしゃる？！」
アルス「まぁ、色々とね…そうだ族長、ユバールの守り手のキーファと言う男がどうなったか…ご存じ無いですか？」
族長　「キーファ…おお、あのどこかの国の王子だったという異色の守り手ですな。…確か、当時の踊り子ライラと結婚して守り手になり、６男１１女をもうけ、剣の腕は一流、冒険好きであった…と伝承には…」
アルス「…作りすぎだっつーの、キーファ…」
族長　「アイラも、その守り手の血を引いていましてな、踊りだけでなく、剣の腕も一流で…冒険好きな所まで受け継いでしまったのが珠に傷ですが」
民人　「とびっきりのじゃじゃ馬娘なんだよ」
アルス「ほぅ、アイラという女性は、キーファの子孫なのですか！…それは、是非会ってみたいものですな」
族長　「今はきっと、この先の岬に居ると思いますが…旅の方…アルス殿と言われたか？…もしアイラにあったら、戻ってくるように伝えて下さらんか？」
アルス「判りました。…よし、岬に行ってみよう」
ガボ　「ええーっ！ここでメシ喰ってくんじゃねーのか？！…肉とかあんな美味そうに焼けてんのに…」
アルス「後でたらふく食えばいいだろ。行くぞ」
ガボ　「あああ〜…」

民人　「…なんか…不思議な人達ですね…私達の歴史をよく知ってましたし…それに、あのアルスという人…」
族長　「うむ…伝承にある、守り手キーファと共に、神の祭壇を甦らせた４人の勇者…その４人の内の二人に、今のアルス殿達はよく似ておった…」
民人　「それって、もしかして…」
族長　「…おそらく、あのアルスという御仁…かなりディープなユバールマニアじゃな。」
民人　「居るのかよ、そんなマニア…」


岬
アルス「ここかな…おっ？」

　　　　　　　岬の突端には、木を組んで作った簡素な墓があり、
　　　　　　　 その前に、肌も露わな一人の女性が佇んでいた。

アイラ「ふぅ………よし」

　　　　　　　　女性は一つ息を吐くと、緩やかに踊り始めた。
　　　　　蒼い月光に照らされて、しなやかに舞うその肢体［すがた］は、
　　　　艶めかしさの内にも、神々しさを感じさせる素晴らしい踊りだった…

マルチ「わぁ、レニさんですか」
アルス「余計なツッコミは入れるな」
アイラ「？！…誰ッ！？」
アルス「失礼…素晴らしい踊りに魅せられて、声をかけるタイミングを逸してしまいました」
アイラ「あら？…貴方達、さっきやって来てた旅の人達ね？」
アルス「私はアルス。そしてこっちが、ガボ、メルビン、マルチです」
アイラ「ふーん。私はユバール族のアイラよ。よろしくね。…で？旅の人がこんな所に何の用？」
アルス「ええ、族長殿に聞いたのですが…」
アイラ「族長に？…はは〜ん、さては族長に頼まれて、私を連れ戻しに来たんでしょう？…お生憎様、私はまだ、踊り手を継ぐ気はないわよ」
アルス「まあ、族長殿に頼まれたのもありますが…貴方とお話がしたいと思いましてね」
アイラ「あら…もしかしてナンパ？」
アルス「…したいのは山々ですけど、後ろにこんなぞろぞろくっつけて誘いには来ないですよ（苦笑）」
アイラ「あら残念…私だってナンパされるくらいにはイケてるって思うんだけどなー…ね、どうかな？（くいっ）」

　　　　アイラは悩ましげなポーズを作ってみせた！

アルス「うおっ…」
メルビ「くほー！が、眼福でござるよー！！」
ガボ　「何だ？」
アイラ「ありゃりゃ、そっちの子は趣味じゃなかったかな、こういうのは」
ガボ　「オイラ、元々仔狼だから、わかんねーんだそーゆうの」
アイラ「え？狼なの？」
アルス「あ、ああ、ウチのパーティは現在、狼・からくりメイド・英雄メルビンだからな」
アイラ「…やっぱ、旅人って凄いのね…人間以外でパーティ組めるなんて…」
メルビ「拙者は人間でござるよー！！（泣）」
アイラ「あーあぁいぃーなぁーっ！私も自由気ままに旅してみたいなーっ！」
マルチ「でも、ユバールの皆さんって、旅から旅を続けてるんじゃないんですか？」
アイラ「私達の旅ルートは人里にはあまり近づかないのよ。街じゃ聞かないでしょ、ユバールの話って？」
マルチ「そう言えばそうですね。お城の調査隊の人やボルカノさんも知りませんでしたし」
アイラ「でしょ？飲んで歌って踊るくらいしか娯楽なんて無いのよ。いつも同じ顔ばっかだしさー…こんなんじゃ、ロマンスの一つもありゃしないわよ。ご先祖様みたいにさ、どっかの王子様と恋と冒険の果てに結ばれる、なんて事起きないかなぁ」
ガボ　「でも、そのせいでジャンの奴出ていっちまったんだよな」
アルス「まあな。キーファの奴も［失敗］したしな」
アイラ「へ？何々？貴方達って、ユバールの伝承に詳しいの？」
アルス「当事者の俺らにとっては伝承じゃないんでね、その辺は」
アイラ「…どういうこと、それ？」
アルス「まあ、信じられない話だと思うけど…」

　　　　アルスは今までの様々な冒険のことをアイラに語って聞かせた。

アルス「…で、俺達は此処にいる、て訳なんだな」
アイラ「…………く」
メルビ「く？」
アイラ「悔しーーーっ！私がこんな所でウダってた間、貴方達はそんなスペクタクルな大冒険の連続に浸ってたなんて、神様って不公平ーっ！（ぎゅーっ！）」
アルス「ぐおっ？！ま、まて、締めるなぐええ！おおぅ胸が〜！」
アイラ「そんな不公平な神様、復活させんのなんて止めちゃおうかなー！」
メルビ「何と！？神の復活は、我ら神の兵の悲願でもあるでござる！考え直してほしいでござるよ！」
アイラ「それは冗談としても…よし！思い立ったが吉法師！…ねぇ貴方達！後でまた野営地の方に寄ってね！絶対に寄ってってね！私、族長様の所に戻るから！」
ガボ　「…行っちまった…嵐のようなねーちゃんだったな」
マルチ「戻るんですかアルスさん？」
アルス「後５分、いや３分だけ待って…」

　　　　アルスは［前屈み］になった！

メルビ「情けないでござるよアルス殿…」
アルス「…あの胸は立派な凶器だ…」


ユバールの野営地・族長のテント
族長　「…では、どうしても伝説の弾き手の血筋の者を探しに行くというのじゃな？」
アイラ「はい族長様。未だ神の祭壇も見つからぬ現状に置いて、踊り手が必要とは思えません。それに、よしんば祭壇が見つかったとしても、大地のトゥーラの弾き手がいなければ、儀式は執り行えないではありませんか？」
族長　「む…それはそうじゃが…」

アルス達はテントに戻ってきた…

アルス「寄ってくれと言うから来てみたが…なんか言い争いを始めてるな」
アイラ「……ですから、私は世界を巡り、伝説の弾き手の血筋の者を見つけたいんです。…その時にこそ、私は神の踊り手として心から舞える、そう思うんです…」
族長　「アイラ、お前が心の中では、我らユバールの使命を、誰よりも大切に思っていてくれている事は解っておる…じゃが、そなた一人で弾き手が捜し出せるとは…我らが今まで捜しても手がかりすら掴めておらんというに」
アイラ「私は見つかると信じています！もし、今が神の復活する時であるなら必ず！…もしその時でなかったとしても、決して無駄にはならないはずです！」
族長　「……それは確かにそうなのじゃが、お前一人を旅に出すというのは心配で心配で…お前自身も神の踊り手になる身なのじゃからな…」
アイラ「あら、それならば心配はいりません族長様！…アルスさん達が、私の旅に付き合ってくれるんですもの！旅慣れたこの人達と一緒なら、何の心配もいらないでしょう？」
族長　「何じゃと？！」
ガボ　「（なあアルス、いつの間にそんな話になったんだ？）」
アルス「（なーる、俺らを利用して旅に出ちゃおってのね）」
族長　「しかし…この方達は、ついさっき此処に来たばかりの…」
アイラ「確かにそうです。…ですが、私の話を聞き、ユバールの使命も大変深く理解して下さって、協力を申し出て下さったんです。…ねっ？そうですよね？（腕に抱き付く）」
アルス「（ううっ、胸が！）…えー、どうでしたか…」
アイラ「酷い！先ほどのことは、私をおからかいになったと言うのですか？！（ぎゅー）」
アルス「（うおおぅ！）い、いえ、私も一時ユバールの方と旅をしたこともありますし、私でお役に立てることがあるならと…」
族長　「…やれやれ、子供の頃から、一度言い出したら聞かん娘じゃったからな、アイラは…（ごそごそ）…そこまで言うのであれば、もう止めやせん。…大地のトゥーラだ。もって行きなさい」
アイラ「ぞ、族長様、それは…！」
族長　「このトゥーラは、弾き手の資格を持つ者にしか弾けやせん…逆に、これを弾きこなせる者がいたなら…アイラよ、お前の目にかなった者に、このトゥーラを弾かせてみるがよい。」
アイラ「………判りました。確かに大地のトゥーラ、お預かりいたします」
族長　「…アルス殿。アイラのこと、よろしく頼みますぞ」
民人　「このじゃじゃ馬の無鉄砲娘と旅なんかしたら、大変だぞあんた！」
アルス「はは…お任せ下さい、皆さん」
族長　「…じゃがのぅ…アイラ、旅に出たら２度と戻ってこないような気がしてのぅ」
アイラ「うっ…そ、そんな心配はご無用、必ず弾き手を見つけて戻って来ますって！」
族長　「…やっぱり心配じゃのぅ…」
アイラ「そ、それでは族長様、私達はもう行きますね！」
アルス「ほえっ？！」
アイラ「族長様の気が変わる前…じゃなかった、みんなに見送られたりって好きじゃないから、夜の内に出発しましょう！さあさあ！」
ガボ　「ま、待ってくれよ、オイラまだ、あの美味そうな肉喰ってねーんだ…」
アイラ「さあさあさあさあ！行きましょう行きましょう！では族長様、吉報をお待ち下さい！」
ガボ　「ああああ〜、肉〜！（泣）」


岬
アイラ「やっ……たぁーーーーっ！！」
アルス「やれやれ、強引だな…」
アイラ「いいじゃない、もう！…それより、今から旅の仲間ね！よろしく、アルス・ガボ・メルビン・マルチ！」
アルス「おぅ、よろしくなアイラ」
アイラ「…お父さん、お母さん。行って参ります…」
アルス「…両親の墓か？」
アイラ「ええ。本来、私達ユバールはお墓を作らないんだけど、特別に作って貰ったの…（ごそごそ）…よっと！」
メルビ「む、それは旅道具と…剣でござるか」
アイラ「そ。いつか事ある時のために、お墓に隠して置いたんだ。この剣、伝説の守り手が見つけた剣なんだって。…ほら、先っぽに紋章があるでしょ？」
アルス「これは…グランエスタード王家の紋だ…キーファがいつも背負っていた、あの剣だ」
アイラ「え？」
アルス「キーファの奴、何で背中の剣を使わないのかって聞いたらよ『俺はまだこの剣には相応しくない。この剣に恥じない実力が付いたとき、その時にはコイツを存分に振るってやるさ』…なんて言ってたんだ…キーファ、この剣、使ったんだな…」
ガボ　「アルス…」
アルス「………。」
アイラ「…………ねぇ！みんな、こっち来て飲まない？新しい門出を祝してさ！…月もこんなに綺麗なんだし！」
アルス「そうだな。一つパーッと行くか！」
メルビ「新たな旅立ちを月見酒で祝うのも一興でござるな！」
マルチ「じゃあ、何か食べ物を用意しますね」
ガボ　「うほー！オイラ腹ぺこで死にそうだよ！」
アイラ「ふふっ…ユバールといったら当然！ビバ＝グレイプよーん！（ずどん！）」
ガボ　「これ、うめーんだけど、飲むとくらくらすんだぞ」
アルス「それでは…新しい仲間・アイラの加入を祝してー…乾杯！！」
全員　「かんぱーい！！」

　　　　そしてアルス達は、お互いの今までの事や、これからの事を語り合った…
　　　　　　柔らかい潮風が故郷を思い出させ、穏やかな時間が流れていった…

ガボ　「ぐあーっ、ぐぁーっ…もう食えねぇ…むにゃ」
メルビ「…（瓶を抱えて眠っている）」
マルチ「――現在省電力待機モードです・負荷を加えないで下さい――」

アイラ「うふふ…みんなダウンしちゃったわね…（くい）」
アルス「ビバ＝グレイプ、口当たりは良いけど、かなり強いからな…（ぐび）」
アイラ「あー…こんな美味しいお酒は久しぶり…冒険するんだ！って考えただけでワクワクしちゃうわね」
アルス「…やっぱ血かな」
アイラ「何？」
アルス「ん…そんな所、キーファの奴によく似てるな…って思ってさ」
アイラ「……ねぇアルス…ご先祖様…うぅん、キーファさんの事教えてよ…親友だったんでしょ？」
アルス「ああ…」

　　　　　　　　アルスは、キーファとの思い出を語った…
　　　　　　　　笑い合った事、喧嘩した事…様々な事を…

アイラ「…悲しかった？」
アルス「いや…結局あいつの決めた道だったからな…ギャグっぽく別れたけど、王様に報告するのが最悪だった…あんときは１００発殴ってやらなきゃ気が済まんと思ったもんさ…だけど…結局アレが最後だったな…」
アイラ「ふふ…なんか良いよね、そう言うのってさ…男の子の特権っていうか…やっぱさー…女だとまた違うわけよ」
アルス「………。」

　　　　アイラは海の方に降りていくと、裸足になって波と戯れ始めた…

アイラ「アルスも来ない？気持ちいいよ？」
アルス「ああ…」
アイラ「…女の子にだってね、女だけの特権があるのよー」
アルス「ほほぅ、それは？」
アイラ「子供を産んで、育てて上げられること！」
アルス「ぶっ？！」
アイラ「みんなはじゃじゃ馬だ何だって言うけど、私の本当の夢は女らしいのよー…好きな人のお嫁さんになって、子供達に囲まれて暮らすの！…ユバールの民って、数が少ないじゃない？…だから私の子供達でいっぱいいーっぱいにするんだから！」

　　　　　月光を反射する海をバックに、アイラは両手を大きく拡げるとくるくると回りだした
　　　　　　　　　　　　　　　長い髪が月明かりにキラキラと輝き、
　　　　　　　その表情はまだ見ぬ子供達を思ってか、穏やかで優しい微笑みを浮かべていた

アイラ「うふふふ…（ぐらっ）あっ…！」
アルス「おっとと（どさっ）…大丈夫か？」
アイラ「世界が回ってるー…」
アルス「あれだけ飲んで、ぐるぐる回ったりすれば当然だろーが…ほれ、立てるか？」
アイラ「んー……えい！（がばっ）」
アルス「うわっ？！（ばたっ）」
アイラ「うふふー…あったかい…」
アルス「…………酔っぱらい」
アイラ「酔っぱらいだよー」
アルス「何してるか判ってないだろ」
アイラ「わかってるわよー」
アルス「……じゃあ、上からどいてくれ」
アイラ「いや。」
アルス「おいおい…この状態は、俺としては非常に困る…俺だって酔ってるんだしな」
アイラ「……不思議なんだよね…アルスとは、今日、初めて会ったばかりなのに、もう、ずっと昔から知ってる様な気がするんだ…なんだかね、安心するの…これも、キーファさんの血のせいなのかな？」
アルス「そうかもな」
アイラ「じゃあ、今アルスは、キーファさんに抱きしめられてるわけだ？」
アルス「……そういう萎えるような事言うのは止めてくれ…」
アイラ「…萎えちゃったの？」
アルス「そりゃ無理だ、この状況で」
アイラ「ふふ……」
アルス「…………アイラ？」
アイラ「…………すー…すー…」
アルス「……寝ちまったのか？」
アイラ「…むにゅ…」
アルス「…………切ないね、どうにも。…しかしまぁ、年上の筈なんだが、なんとも子供みたいだな」
アイラ「………」
アルス「…………」
アイラ「……………ホントに寝ちゃったって思った？」
アルス「こいつ！」
アイラ「あははは…」


　　　　そして夜が明けた！


アルス「グッモーニン皆の衆！寝覚めはどうかね！」
ガボ　「うー…朝っぱらからテンション高ぇな、アルス…」
アルス「まぁ、徹夜明けでハイになってるからな！…さて、我々は飲料水補給のため、いったんユバールの野営地に立ち寄る！」
メルビ「戻らないのでは無かったでござるか？」
マルチ「あれ？！なんでお水が空っぽなんですか？！」
アイラ「………シャワーも無いところで、ちょっと失敗だったわね…海水って訳にもいかないし…」
アルス「みんなも気を付けような…宿が側なら良いけれど…」
メルビ「…一体何をやったでござるか？」
アルス「それは言えない」
アイラ「知りたいって人が５人以上いたら、書かれるかもね」
アルス「５人という数字は適正だと、クニミツの政でも言っているな」
マルチ「？？？」



民人　「頑張れよ、アイラ！」
女性　「ラッチョ・ドローム！よい旅をアイラ！」
おじさ「ラッチョ・ドローム！」
男の子「帰ってきたら、たびのお話いっぱい聞かせてね！」
踊り子「アイラ〜、お土産は、ゴディアスの３連リングね〜」
踊り子「私は、ハーブのセットね〜」
アイラ「わかった、わかったってばもぅ！…あうう〜」
族長　「……心配じゃ」

　　　　結局、盛大に見送られてしまった一行であった…







プレイヤーのつぶやき…
なんだかこんな話になってしまいました（＾＾；
アイラの夢は、ゲーム中の会話から。
ラッチョ・ドロームとは、ロマ語（ジプシー達の言葉）で、よい旅を！という意味。
まぁ、ジプシー映画のタイトルになってますし。


まえもどるつぎ