第３６話

ガイア	「…また、一月以上更新がないようだな…困ったモノだ」
トルナ	「でもぉ…遊んでたわけじゃないらしいわよぉ？」
オチュ	「まぁ、何をやっていらしたのでしょうか？」
フエー	「どうやら遂に、ドラクエをクリアしたらしいぜ！」
ガイア	「ほう…それは重畳。」
トルナ	「まぁ、最後の最後、ＥＤに至るまで、普通の人なら遭遇しない愉快な現象を喰らってたみたいだけど〜」
オチュ	「でも、それって結局…」
四精霊	「遊んでたんじゃないのか？！」

アルス	「やかましい。」
マルチ	「はい？何か言いましたかアルスさん？」
アルス	「いや…力有る者達からのフレッシュなツッコミを受けていたところだ。…まあ、それはそれとして、フィッシュベルに到着〜……ん？」
マルチ	「ああっ、玄関に誰か倒れてますよ？！」
ボルカ	「しくしくしく…」
アルス	「………なにやってんだ親父…」
ボルカ	「しくしく、久しぶりのイベントなのに、我が息子は俺に話しかけないでいっちまうんだもんなぁ…ハパン悲しいっ！」
アルス	「いや、キャラ違ってるって…悪かったよ、タダの宿屋みたいなもんだったからさ、自宅って…で、なんだイベントって？」
ボルカ	「いや、ココからずっと北の海で漁をしていたときに、テントで生活してる人達を見てな。…旅をしてるお前ならなんか知ってるんじゃないかと思って。」
アルス	「あー…ユバールか…次はユバールがらみか」
ボルカ	「おお、やはり知っていたか！はっはっは、やはり見間違いじゃなかったんだな！ふふん、コック長め、俺の勝ちだな！」
アルス	「そうと判れば…よし！…じゃあ親父、俺は行くぜ！」
ボルカ	「おぅ、行って来い！」

…と、アルス達は旅立ちました。
　さて、時系列は錯綜するが、ここリートルードでは…

舞佳	「ちわー、宅配便でーす。ハンコくださーい」
エイミ	「はいはい、と」
舞佳	「確かに。じゃ、毎度〜」
エイミ	「ん？…差出人がダーマ神殿〜？？　まさかまた…」

　　　　エイミは荷物を開いてみた…中には一枚の紙が入っていて、そこには

　　　　　　　　　　　　　『へこたれる』

　　　　とだけ、記されていた…

エイミ	「むきーっ！また！！こうなったら！」
バロッ	「おいエイミ、何処いきやがる！！バロックタワ建設は今が最盛期なんだぞ！？」
エイミ	「そんなのバロックワークスのビリオンズに任せりゃいいでしょ！アタシはちょっと行く所が出来たから！」
バロッ	「おいコラ！…いっちまいやがった。まったく、ミス・オールサンデーたぁよく言ったモンだぜ…」

ここ、ダーマ神殿は土砂降りの大雨…

フォズ	「ふぅ…この雨では、もう転職希望者も来ないですね」
カシム	「珍しく暇が出来ましたね、フォズ様」
フォズ	「はぁ…この雨ですし、やっぱり…」
エイミ	「（どばったーん！）くぉらぁぁっ！フォズっちーーっ！！」
カシム	「フォ、フォズっち？！」
フォズ	「あら、エイミちゃん様さん、どうしたんですか、そんなびしょぬれで」
エイミ	「どーもこーも！なんでアタシに意味不明のメールを送りつけたりすんのよーっ！」
カシム	「意味不明のメール？」
エイミ	「見んさい！『いたしかゆし』『こばら』『どっこいどっこい』等々！ワケ分かんないってば！何なのよコレは！」
フォズ	「転職希望者の皆さんの台詞から、気になる言葉をご報告していたんですよ（にっこり）」
エイミ	「なんで、んなジュジュ様みたいな真似を…」
フォズ	「深いイミなんて無いです。なんとなくしてみたかったから（にこにこ）」
エイミ	「……ねぇちょっとオッチャン、フォズっち、もしかしてストレス溜まってる？」
カシム	「おっちゃんは止めてくれ…まぁ、フォズ様も色々と忙しくて、自由な時間も取れないし…」
エイミ	「（ぴーん！）はは〜ん、さてはアレだ、男がらみ！」
フォズ	「うぐっ！」
エイミ	「アルスの奴が来ないんで腐ってたんでしょー？」
フォズ	「うぐっ！うぐぅ！」
エイミ	「まー、しゃーないよね〜、こんな、とっくにイベントの終わった土地なんて…」
フォズ	「うわーん！イベントの終わった土地ってゆうなーっ！わーんわーん！！」
エイミ	「ありゃ？！図星が急所を直撃しちゃったりなんだり？！」
カシム	「…ああ、アルスの野郎、もう１年近く姿を現してなくてな…」
エイミ	「ふーん…アタシのとこになんて、一回顔見せたままだわよ〜…もしかしてどっかで魔物に喰われちゃったりして！」
フォズ	「アルスさんが魔物に後れをとるなどあり得ませんっ！！」
エイミ	「んじゃ、なんで来ないのん？」
フォズ	「うっ…ううっ…きっともぅ私達の事なんて忘れちゃってるんです〜！！やっぱり既にイベントの終わった場所なんて〜！うわーんうわーん！（大泣き）」
カシム	「ああああ、フォズ様！…こら、お前もフォズ様を追いつめるんじゃない！！」
エイミ	「へいへい、悪かったってば！…ほらほらフォズっち泣くんじゃないわよ〜。大体、アルスって遠い未来からヘンな力でやって来てたんでしょ？」
フォズ	「ぐす…はい、そう仰ってました…」
エイミ	「じゃあ、元々アタシ達とは住んでる世界が違うわけだからー、向こうは向こうの時間てもんがー…えーと…あれ？」
フォズ	「うわーん！！やっぱりもぅ来てくれないんです〜！！」
エイミ	「ありゃりゃ？……えへ☆フォロー失敗！（ぺしっ）」
カシム	「ぺしっ！じゃない！！…フォズ様、大丈夫ですよ、アイツがフォズ様のこと忘れたりする筈無いじゃないですか、ねぇ！」
エイミ	「そーそー、アイツら時間を飛び回って旅してるわけだし、こっちで時間が経ってても、向こうじゃほんの１分くらいしか経って無いかも知れないしねー」
カシム	「それだ！…バカかと思ったら、結構良いこと言うじゃないか」
エイミ	「バカいうな！…ま、アタシんトコは時間については色々あったからねー」
フォズ	「……そう…何でしょうか？」
エイミ	「そうに決まってるって！このエイミちゃん様が、どんと保証しまくりよー！」
フォズ	「そうすると…もしかしたら、アルスさん達が３日ぐらいで私達に会いに来て下さっても、こちらでは５０年、１００年と過ぎてしまっている可能性もあるんですね…」
カシム	「うっ！…い、いや、それは」
エイミ	「もー、なんでそう悪い方にばっか考えるかな、このお子様は！ほれ［明日があるさ］でも元気に歌って未来に希望燃やしてみんさい！」
フォズ	「はぁ。…では、イ短調にして、さらにアカペラで……どぉ〜し〜て私は頑張ってるんだぁろ〜…」
エイミ	「ぐあっ！ちょお重！！生活に疲れてる感爆裂！！…ここまで煮詰まってるとは…全く、フォズっちは、何でも思い詰めすぎんのよ。このエイミちゃん様程の大人物になると、物事全てどーんと構えて揺るぎ無いってもんなのに」
フォズ	「…そんな強いお心を持ってらっしゃるエイミちゃん様さんが羨ましいです…私なんて」
カシム	「いや、この娘の場合、ただ単に鈍いだけだと。」
エイミ	「ちょむかーっ！ちょっとオッチャン、アタシの…の…ふぇっくち！」
フォズ	「あ、ご免なさい！そんなびしょぬれでいたら風邪を引いてしまいますよね…着替えを用意しておきますから、どうぞお風呂にゆっくり入ってきて下さい…今日は、特選・エンゴウの湯ですから」
エイミ	「なに？こだわりの名湯百選？…フォズっちって風呂道楽？」
フォズ	「バスタイムは、唯一リラックスできる時間なので…ささやかな趣味といいますか…」
エイミ	「ふーん…ねぇ、どうせならフォズっちも一緒に入る？」
フォズ	「え？…あの、思うんですけど…なんか私だけ、やたら入浴シーンが多くありませんか？…確かにお風呂は大好きなんですけど…」
エイミ	「そーなの？まあいいじゃん、どうせ文字だけなんだしさ！」
フォズ	「それはそうですけど…あ、そうそう、『ドラクエの歩き方』という本で、私の綺麗なドット絵が載っていたんですが、それを見ると私って、黒髪の鈴原みさきとか、ちぃとかみたいな髪型だったんですね……服装は玄奘三蔵ですし。…プレイヤーさんは、『豪萌えの大道寺知世ちゃん型にイメージ修正でゴザルよニンともカンとも』と仰ってました」
エイミ	「…誰に向かって言ってんの？」
フォズ	「でも、なんだかＣＬＡＭＰさんのキャラばかりですね」
エイミ	「リビドーの高い幼女を描かせたら、世界最強だからね〜、あの人達は」
フォズ	「幼女！？（ズガビーン！）」
エイミ	「何ダメージ受けてんの？ま、いいや。ほれほれ、フォズっちも来んさい！」
フォズ	「あ、あの、エ、エイミちゃん様さん…」
エイミ	「エイミちゃん様さんなんて堅苦しく呼ばないで、もっとこぅ、フレンドリーかつフランクに［エイミ様］って呼んでくれてオケーなもんよ？」
フォズ	「そ、それってフレンドリーなんですか？！」
エイミ	「細かいところにツッコまない！…そんな几帳面だから中高年みたいなストレスの溜め方するの！もっとユルく生きなさいよ、ユルユルと！ホントにＫＩＣＨＯ−ＭＥＮが来るわよ部屋に！」
フォズ	「ま、まがりなりにもダーマ神殿を預かる大神官の身としては、ユルユルするわけには…」
エイミ	「じゃあ、あれだ、転職！はなカワセミにでも転職すれば…」
フォズ	「転職の儀は、私が執り行わなきゃいけないんですケド…」
エイミ	「むきーっ！あー言えばこー言うーっ！！いいから来んさい！脱げーっ！！」
フォズ	「キャーッ！ふ、服は脱衣所で脱ぐものですよーっ！？（どたばた）」
神官	「フォズ様、カシム様、あの……ふぉぉっ？！フ、フ、フォズ様？！」
フォズ	「え？あっ、やーん！見ないで下さい〜っ！」
エイミ	「肩がちょっとはだけたぐらい何でもないでしょうに」
カシム	「で？何用か？」
神官	「…………はっ？！あ、その、職を変えたいという方が見えたのですが、その…」
フォズ	「転職希望者ですか？（直し直し）」
神官	「（あああ…）そ、そうなんですけれど…」
エルフ	「あ、あのぅ……やっぱり、エルフでは職に就け無いんでしょうか？」
カシム	「ほぅ？！…エルフ族の方が来られるとは…ダーマ始まって以来ですな」
エイミ	「ふみゅ…アタシ、エルフ族って初めて見た…」
フォズ	「ダーマ神殿では、転職希望者は例えモンスターであっても等しく扱われますが…本来、エルフ族の方というのは、転職という概念が薄いものと聞いていたのですけど…なにか、よほどの事情でもお有りなのですか？」
エルフ	「はい…私は、世界樹の若木の世話役だったのですが…私が至らなかったばかりに、世界樹の若木を魔物に切り倒されそうになってしまいまして…」
カシム	「な、なんだって！世界樹が？！」
エルフ	「はうっ！す、すみません〜（泣）」
フォズ	「カシム！」
カシム	「あ…も、申し訳ございません……失礼しましたレディ…ネリスは…私の大切な人は、世界樹の雫が無いと生きられない体なもので、つい取り乱してしまいました…」
エルフ	「そうだったんですか…世界樹は、アルスさんという旅の方達のお陰で無事だったのですが…」
フォズ	「アルスさん？！」
エイミ	「へー、いろんな事やってんのねぇアイツ」
フォズ	「あの、よろしければ、その話をもっとよく聞かせて貰えませんかっ？！」
エルフ	「は、はいっ？！…あ、アルスさん達は、弱り切って動けなかった私を介抱して下さって、魔物をうち倒して村人と世界樹を救ってくれたんです…縁もゆかりもない私達のために危険を省みずに…（中略）…という訳でして」
フォズ	「あぁ…やっぱりアルスさんは凄いです…」
エイミ	「ねぇねぇ、アンタ、アルスになんかされなかったの？」
フォズ	「（ぴくっ！）」
エルフ	「え？…皆さん親身に介抱して下さいましたけれども…」
エイミ	「ふーん。よかったじゃん、この人シロみたいだよ？フォズっち」
フォズ	「もう！エイミさんってば…」
エルフ	「そう言うわけで、世界樹は無事だったんですけど…私は族長様に世話役外されちゃったんです〜！世界樹の世話役はとっても名誉なお役目だったのに〜！アルスさんに『世界樹が立派に成長した後、私は消えてしまうのでしょうか…』なんて話してたのに、こんなみっともない〜！」
フォズ	「ああ、お、落ち着いて下さい…」
エルフ	「…なので、私は今、お役目をハズされてしまい、部族に居場所がなくなっちゃったんです…それで、アルスさん達が言っていた、職を変える神殿に行けば、なにかお役目を貰えるのでは無いかと思ったんですけど…」
フォズ	「大丈夫ですよ（にっこり）…ここでは貴方のなりたい職に生まれ変わることが出来ます…まぁ、急に上級な職業に就くことは無理ですけど。…どんな職をやってみたいのですか？」
エルフ	「…えーと……ああっ！？そ、そう言えば、考えてませんでした！！」
フォズ	「（がくっ）な、なりたい職業が決まらないと、転職は…」
エルフ	「今まで、世界樹の世話に明け暮れてきたから、他の仕事ってイメージが湧かない〜！あうーあうー…ひーん、やっぱり私はダメのダメダメエルフなんだ〜！」
フォズ	「そ、そんなことはありませんよ。ダーマでは、なりたい職業にほぼ転職できます。［心］をお持ちいただければ、種族すら変えることが出来るんですよ！かつて［人間の心］を持ってきたホイミスライムが人になったように！心さえ有れば［トレント］でも［多足のもの］でも思い通り、七つの月のしろしめすままに…まぁ、流石に限界は有りますけど…ぴちぴちギャルになりたいというおじいさんがいましたが、ギャルには転職できても、性別や年齢まではちょっと…男の方ですと［ギャル男（お）］にしか」
エイミ	「女の子になりたかったら、ちょんぎるしかないもんね〜」
フォズ	「ちょん……」
エルフ	「ううーん、私はエルフの自分が気に入っていますし、男の人にもなりたいとは…」
エイミ	「じゃあ、このエイミちゃん様が、あんたの道を指し示してあげるわ！」
エルフ	「ええっ？！」
エイミ	「ズバリ、［アイドル雀士］ね！！」
エルフ	「アルスさん達にも言われました、それ…そんなに私の格好ってピーチパイさんという人に似てるんでしょうか…？」
カシム	「似てますな。」
エイミ	「くあぁぁぁ…こ、このエイミちゃん様ともあろう者が、人のネタとカブるとわぁぁぁ…」
フォズ	「それではどうでしょう、しばらくこのダーマ神殿で暮らしてみて、やりたいことを捜してみると言うのは？」
エルフ	「え…い、いいんですか？ご迷惑じゃないですか？」
フォズ	「ええ、歓迎しますよ、ねぇカシム？」
カシム	「ふむ…（ま、フォズ様の話相手になって貰えるか？）まぁ、宜しいんじゃないでしょうか？…食い扶持は自分で稼いで貰わねばなりませんが」
エルフ	「あ、私達はいつも、花の蜜とかを集めて作ったものを食べていますので…」
エイミ	「なになに？［さえずりの蜜］とか食べてんの？」
エルフ	「まあ、似たようなモノですけど…あ、そうでした！さえずりの蜜を持ってきていたんでした！」
カシム	「何と？！」
エルフ	「アルスさんがとても欲しがっていたんですけど、その時には持ち合わせが無くて…人間の皆さんには、これって大層な人気らしいのでお土産になるかなって…宜しければどうぞ」
エイミ	「うわーお！どれどれ一舐め…（ぺちっ）あたっ」
フォズ	「もう、ダメですエイミさん！…これはアルスさん達が来た時に開けましょう」
エイミ	「ててて…フォズっちてば、アルスに関わるといきなり強いんだから…アルスが来たときアタシが此処にいる可能性なんて、メチャ低いぢゃん…ぶちぶち」
フォズ	「それではカシム、これは大切に保存して置いて下さい」
カシム	「は、畏まりました」
エイミ	「…さってと。んでわ、３人でお風呂に入ろっか！」
２人	「えっ？！」
エイミ	「えっ？！でなくて！…エルフの…名前、なんてーの？」
エルフ	「私達、役名で呼び合うので、人間の方のような名前はないんです。私は、若木の守り役…外されちゃったから…な、なんなんでしょう？！」
エイミ	「じゃ、ピーチ…」
エルフ	「そ、それは…とりあえずエルフって呼んで貰っていいです、はい。」
エイミ	「じゃエルフ、この雨の中来たなら濡れたでしょ？お風呂入らないとね……エルフの体ってどーなの？私達と同じなの？知的探求心ってやつこれ？ぬふふふふ…」
エルフ	「ふ、フツー…だと思うんですけど…あの、怖いです、その笑顔……でも私、お風呂って入った事無いんです」
全員	「うそっ？！（ざざっ）」
エルフ	「ああっ？！ひ、引かないで下さい〜！ちゃんと毎日、神木の朝露で体を清めてますよ〜！」
カシム	「せ、世界樹の雫で体を洗ってたのか？！…な、なんとお大尽な…」
エルフ	「お大尽なんですか？…私にとっては、毎日たくさん降ってくるし、集めるのも仕事でしたから。でも、結構命がけなんですよ、アレを集めるの…遙か天空から、キングスライム並みの大きさの水塊が落ちて来るんですから…集める度にびしょ濡れになるので、それで体を清めちゃってたんです」
フォズ	「あぁ、世界樹の雫風呂って入ってみたいなぁ…クレージュの湯は合成ですから…」
カシム	「それでは、着替えの手配などしておきますか…おい神官！」
神官	「はっ！何でしょうか親衛隊長殿！」
カシム	「…今、隠し撮った写真全部渡せ。」
神官	「ああああ〜！フォズ様達のお宝ショットが〜っ！ブロマイドが〜！酷いです査察官殿〜！」
カシム	「何が酷いだバカモノが…お前、明日から山賊対策課に配置換え。」
神官	「きゃーっ！」
エイミ	「さてさて、それじゃ楽しいお風呂タイムといくわよ〜！」
？？？	「（ばたばたばた）あーん！なんで急に降り出しちゃうのよ〜！」
？？？	「アンタの日頃の行いが悪いからだよ！」
？？？	「わんわんわんっ！」
カシム	「な、なんだ？！」
？？？	「よかったー、まだ開いてたよダーマ神殿〜」
？？？	「それよっか、どーすんのよ、こんなずぶ濡れで！」
？？？	「わふ、わふ」
カシム	「……あー、失礼だがそこのメイド服のレディ達＆犬、あなた方は？」
チェリ	「うわっ！わっ！わぁ、ごめんなさいっ！私、チェリっていいまして、この子はコパンですっ！」
コパン	「わんっ！」
ケイ	「こいつ…私を差し置いてコパンだけ紹介するとは…あ、私はケイっていいます…それで、貴方は？」
カシム	「私は、このダーマ神殿の親衛隊長を勤めさせて貰っているカシムという者だ。そして、ここは一応、大神官様の休憩室なのだが…」
ケイ	「うげっ…も、申し訳有りません…急な大雨で神殿の開いてるところに駆け込んじゃったもので…おら、チェリ、お前も謝れ！」
チェリ	「ご、ごめんなさーい…」
コパン	「きゅーん…」
フォズ	「カシム、いいじゃないですか…飛び込んできた方は他にもいますし」
エイミ	「……アタシのこと？」
フォズ	「それで、この大雨の中、メイド服で来られるとは一体？…転職希望なのでしょうか？」
ケイ	「…あの、大変失礼ですが…貴方が大神官様で…？」
フォズ	「はい。私がダーマ神殿の大神官を勤めさせていただいているフォズと言う者です」
チェリ	「うわー！ケイちゃんケイちゃん、聞いたとおり、ホントにちっちゃくて可愛い女の子が大神官様だよー！（がつん！）……いったぁぁぁぁい…ミソが出ちゃうぅ」
ケイ	「チェリぃぃ…きさんはお屋敷勤めのくせに礼節っちゅーもんが身に付いてないんか？！……すみませんすみません、この子ってばいつもこうで」
フォズ	「いえあの…お気になさらないで下さい」
チェリ	「う゛〜…だって…アルスさんから聞いたときには、あのダーマの大神官をちっちゃい娘がやってるなんて信じられなかったんだもん…」
フォズ	「アルスさん？！」
エイミ	「はー、この人達もか…あいつも好きねぇ……女の子が」
フォズ	「違います！困ってる人を見捨てられないんです、アルスさんは！」
エイミ	「はいはい、そうでございますとも！…所でさ、いい加減お風呂入んない？…そっちの二人も着替えたいだろうしさ。濡れたメイド服って体に張り付いて気持ち悪そうよねぇ…なんでメイド服なの？趣味？」
ケイ	「い、いえ…趣味ではないんですが…」
チェリ	「あははーっ、着替えたくても、もうコレしか着るモノ無いだよねー」
フォズ	「ええっ？！どうしてなんですか？」
ケイ	「コイツのせいです、コイツの！（ぐりぐり）」
チェリ	「いたたた、猪木グリグリは痛いよケイちゃん！…えーまー、そもダーマに来た理由ってのがー、転職っていうかー…えーん職下さーい（泣）」
エルフ	「まあ…あなた方もお役目を外されてしまったんですか？」
ケイ	「いや、まあ、職場自体が無くなってしまったので…あの、どこか隅っこで構いませんから、服を乾かす場所をお貸し願えませんか…？」
エイミ	「えいもー、この際だからあんた達も風呂入んなさい！」
ケイ	「そっ、そう言う訳には…」
チェリ	「いいんですか？！やったー！もー、べとべとしてどうしようかって思ってたんですっ！」
エイミ	「…というわけで、いいよね、フォズっち？」
フォズ	「強引ですね、エイミさんは（失笑）…でも良いですね、たまには大人数で、楽しく入りましょう」
ケイ	「あぅあぅ…」
チェリ	「あっ！でしたらコパンも一緒に（がづん！）……うぅぅ、何でもないですぅぅ…」

ダーマ神殿大神官用浴場

エルフ	「（かこーん）わー…コレがお風呂ですかー…はー…」
チェリ	「（かこーん）ひゃー！綺麗で広いお風呂〜！凄いねケイちゃん泳げそうだよ！」
ケイ	「あああ、私達みたいな下っ端メイドが入っていいような所じゃないのに…（かこーん）」
フォズ	「なにやってるんですか、エイミさん？（かこーん）」
エイミ	「この（かこーん）がないと、お風呂って感じしないでしょ？」
フォズ	「もぅ、銭湯じゃないんですよ…（ざばー）あぁ…いい気持ちです…」
エイミ	「ぬっふふふ。モニターの前の貴方、貴方、貴方！見たいでしょ〜？でも見せたげない！」
フォズ	「水谷優子さんですか？…あ、皆さんも自分のお風呂だと思ってくつろいで下さいね」
ケイ	「あ、有り難うございます！」
チェリ	「ざぶざぶ…うーん、素敵〜！」
ケイ	「めっちゃくつろいでる？！…あたしゃ羨ましいよ、チェリのその神経……っていうか、体を洗ってから湯に浸かれーっ！泳ぐなーっ！大体、大神官様を差し置いて、いの一番に湯に入る奴があるかーっ！！」
チェリ	「ケイちゃん、お風呂で大声出したら迷惑だよ」
ケイ	「………こ、こやつ…」
エイミ	「そう言えば、あんたらなんでメイド服一枚だったん？」
フォズ	「それと、アルスさんのお話も聞かせて貰えませんか？」
チェリ	「うんいいよー……私達、グリンフレークのハーブ園でお屋敷勤めしてたんだけど…そこの奥様が、旦那様を毒殺して、財産を乗っ取ろうと企んだんだー。コパンが毒入りご飯食べちゃって大変だったんだから！」
ケイ	「その時、暴走して空回りするこのバカチェリを的確に助けて下さったのがアルスさん達でして…奥様は、館の前の主のご子息と共に街を去られてしまったんです」
チェリ	「その後、旦那様は、愛していた奥様に裏切られてたって知って、すっかり落ち込んじゃって…盛られ続けた毒も体を蝕んでて…更に、近くに新しくできたハーブ園にお客を取られて…とうとうに天に召されちゃったんです」
ケイ	「元々ハーブで生活を支えていた街だったので、衰退著しく…結局お屋敷どころか街まで寂れて、遂に私達も暇を出されてしまったんです」
チェリ	「不況倒産リストラは切ないですねー、とほほ」
ケイ	「仕方ないので、他の街で奉公先を捜そうとしたんですが…チェリがコパンを離さないから、ペット連れはダメだって…」
チェリ	「みんな判ってないんだよ、コパンはそこらの人間なんかより、よっぽど素敵な犬なのにぃ」
ケイ	「…挙げ句の果てに、路銀も底をついてしまい、持っていた服を売ってお金にしたんですが、このおバカに任せたのが運の尽き、メイド服は仕事着だから就職活動に必要とか余計な考えで、人が風呂に入ってる間に普段着の方を全部売って来るわ、そのお金でコパンのご飯を買っちゃうわ、メイド服で街を歩くハメになって怪しいスカウトに声かけられるわ、この娘はほいほいついていった挙げ句に、犬は余計と離されそうになったからって、コレもんな人達とチェイスになるわ、私は危うくイケナイ宿に売られそうになるわ…むきーっ！全部お前のせいじゃないかチェリ〜ッ！！」
チェリ	「わっ、わっ！裸で力んだらはしたないよケイちゃん！」
エイミ	「…そっか、ミホキヨコンビなんだこの二人」
ケイ	「はぁぁ…そんなわけで、現在、一文無しの一張羅なんです、私達…」
チェリ	「切ないねぇ」
フォズ	「それは…何と言ってよいか…ご愁傷さまです…」
ケイ	「ですから、ここで仕事にありつけないと、私達のたれ死にという訳でして…」
エルフ	「大丈夫ですよ、この辺りは草花も豊富ですから、蜜も良いモノが作れますよ」
チェリ	「蜜だけじゃ、コパンが持たないよー」
ケイ	「何でもコパンを優先するな！私達だって持たないわよ！」
エルフ	「人間の方は大変ですね…」
エイミ	「何にせよ…（がららら）…ん？」
ネリス	「フォズ様、皆さん、着替えは此処に置いておきますね」
フォズ	「あ、ネリスさん、起きても大丈夫なんですか？」
ネリス	「ええ、今日は結構体の調子がいいの、だからこのぐらい大丈夫よ」
チェリ	「わあ〜…綺麗な人〜」
エルフ	「この方が、カシムさんの言っていたネリスさんですか？」
ネリス	「うふふ、初めまして皆さん、私がはぁっ？！（吐血……ばったり。）」
エイミ	「うわーっ？！」
フォズ	「きゃーっ！！ネ、ネリスさんしっかり！」
チェリ	「わわわわわ、医者、医者は何処ー？！」
カシム	「（がららっ！）どうした？！大丈夫かネリス！？」
フォズ	「…あ」
エイミ	「…あ」
エルフ	「…あ」
チェリ	「…あ」
ケイ	「…あ」
カシム	「………う。」
５人	「きゃああああああああああっ！！」
カシム	「うわあああああっ！も、も、申し訳ないっっ！！（ばたばた）」

ネリスの部屋

フォズ	「ふぅ。…これで大丈夫です」
ネリス	「ごめんなさい、皆さん…」
エイミ	「ホントに体弱いんだねぇ」
フォズ	「まぁ、私達には日常的とも言えるのですけど…」
チェリ	「でも、さっきはビックリしたよー、色々」
カシム	「……全く、面目次第もない…」
ケイ	「まぁ、ネリスさんが心配だったのでしょうから…」
エイミ	「確かに、こりゃ心配にもなるわね〜…ハっちゃん状態？」
カシム	「元々体が弱かったのに、［魂砕き］のせいで、体がぼろぼろになってしまったんだ…」
ネリス	「これでも結構、剣とか使えるのよ？…体さえ丈夫なら、カシムのお手伝いをしたいのに…」
エルフ	「……あの、出来る、と思いますよ、体を丈夫に…」
ネリス	「えっ？！」
カシム	「ほ、本当か？！」
エルフ	「え、ええ…元ですけど、世界樹の世話役として世界樹の力と使用法には熟知していますから…ただし、かなり特殊な方法ですけど。危険は…まあ無いはずです」
フォズ	「まぁ…！」
エルフ	「この神殿にお世話にならせて頂くのですし、私で役に立つことが有ればどんなお役目でも嬉しいので……どうします？やってみますか？」
ネリス	「お願いします。…どうせ、今のままじゃ、半分死んでいるようなモノですから…」
ケイ	「…チェリ、アンタも手伝ってあげなよ」
チェリ	「そだねー」
エイミ	「へっ？！チェリが手伝うの？！」
ケイ	「この子は困った奴ですけど、薬学や治療術には詳しいんです」
チェリ	「コパンが毒ご飯を食べちゃった後、もし何かあっても助けられるように、色々勉強したんですよー！パミラさんに習って！［チェリの秘薬］だって作れますよー！」
ケイ	「チェリはのーみそスポンジですけど、スポンジな分吸収が早いので、この点では結構役立つと思います」
エイミ	「ふーん、人は見かけによらないってのの、生きた標本なのねー」
チェリ	「ケイちゃん、エイミちゃん…なんか引っかかる言い方…」
エルフ	「それではお願いしますね、チェリさん」
ネリス	「ああ、カシム…私、元気になれるのかしら…もし元気になれたら、色々したい事があるわ」
カシム	「今は奇跡を信じよう、ネリス…………ネリスのことを、頼む。」
フォズ	「私からもお願いします…どうかネリスさんを…」
エルフ	「はい」
チェリ	「お任せだよー！」

――さて、時間軸を元に戻すとしましょう。
　　アルス達は、絨毯を使い、一路ユバールの野営地へ向かっていました…

アルス	「……はぁはぁ、ア、アスカぁぁ…」
マルチ	「アルスさん…」
アルス	「……はぁはぁ、お願いだよアスカぁぁ、いつも見たいにボクをしかってよぉ…ツッコんでよ…はぁはぁ」
マルチ	「ふぇぇ〜ん、アルスさんが劇場版の世界に行っちゃいましたぁ〜（泣）」
ガボ	「誰にもツッコミを入れて貰えなくて、禁断症状が出ちまってるみてーだぞ」
メルビ	「困ったでござるな…ユバールとやらに、キレの良いツッコミを持つ神山のような御仁でもいればよいのでござるが…」
アルス	「でも、魔王のランプ×４全部にツッコまれたときは全滅しました…こちとら思いっきりれんごく火炎吐いてたんで…はぁはぁ」
マルチ	「あああ、とうとう未来日記を語りはじめてしまいましたぁ…」
アルス	「あぐぅぅ！ここで、『魔王のランプは［ツッコミ］じゃなくて［しっぺ返し］だぞ』って返してくれぇぇ…」