レヴュウ・１
〜奥州は杜の都〜

さくら	「大神さぁん…（はらはら）　大神さあぁぁぁん…（はらはらはら）」
マリア	「…さくら、しっかりしなさい！」
さくら	「うぇぇん！だってだって、大神さんに会えな゛いんです゛もの゛〜」
紅蘭	「あかんなぁ…完全に抜けてしもうてるわ」
カンナ	「おぃおぃ…まだ一ヶ月も経ってねーんだぞ？…今まで１年も会わなかった事だってあっただろ？」
さくら	「あの頃は、裏御三家の宿命とかあったもの〜…今はないもの〜」
すみれ	「まったく…大体さくらさん？あなた毎日、中尉に手紙を送り付けているじゃありませんの！」
さくら	「てがみなんかじゃ満足できない〜！はうう〜（そでかみかみ）」
織姫	「そーいえば、キネマトロンはどーしたですかー？中尉さん持っていってるでしょー？」
さくら	「米田支配人が使わせてくれないの…」
マリア	「当たり前よ。さくらに使わせてたら、何のために隊長が一人パリに留学するのか判らないじゃないの！今回は大使館経由での特別留学なのよ」
アイリ	「さくら、この前こっそり使おうとして、かえでおねーちゃんに見つかって、お風呂掃除一週間やらされたんだよね！」
さくら	「その上、キネマトロンは魔神器保管庫にしまわれちゃいました…ああ…今のあたしは、床がお友達…よよ…」
紅蘭	「遂に涙でネズミを描きはじめてしまったで…」
さくら	「そう言えば、紅蘭、大神さんから手作りの人形いっぱい貰ってたわよね…いいなぁ…あたしが貰ったのは、サボテンが２個だけ…ねぇ、ちょうだい、こーらん」
紅蘭	「だ、ダメや！アレはウチと大神はんの愛の人形やから…」
さくら	「じゃあ、きねまとろんかえして。かえしてかえしてかえしてぇ〜」
すみれ	「さくらさんが、とうとうイカれてしまいましたわ…」
カンナ	「まいったなぁ…何とかなんねぇか？さくらの奴」
織姫	「さくらがこれじゃ、私も張り合いが無いですしー、まぁ、テが無い訳じゃないですけどー…ね、レニ？」
レニ	「…そうだね。合法かつ強引に隊長に会う方法が、あることはあるよ」
アイリ	「わぁ！何々？！」
織姫	「これは部外秘なんですけどー…星組からココに来る前に、世界各地の主要都市にも、帝都のような霊的防衛組織が必要ではないかという意見があってー…」
レニ	「その時は、ただの噂だったんだけど、帝都で起きた３度にわたる霊的大乱を鑑みた結果、この噂が現実になった可能性もある。」
すみれ	「…じゃあ、中尉は、そのために密かに巴里に呼ばれたと言うんですの？新たな華撃団を組織するために？」
さくら	（…私達以外に？（ぴくっ！））
マリア	「そうすると、パリでも劇場がベースになるのかしらね」
アイリ	「じゃあ、パリにもアイリス達みたいな花組があるのかな…会ってみたいなー！」
さくら	（…私の大神さんを、欧州は花の都に潜む魅惑の女優達が猛然と誘惑するって事？！（ぴくぴくっ！））
織姫	「そこでですねー、帝劇も、まぁそれなりに名も売れてきましたしー、そーいった裏事情は知らぬフリをして、ヨーロッパ演劇界と交流を深めるというお題目で花組巴里特別公演を企画して見る、というのはどーでしょー？」
さくら	「織姫さん、それよーーーーッ！！（ごおおおぅっ！）」
織姫	「ひぇーっ！さ、さくら、落ち着くでーす！抱きついたらダメ…や〜んアチチ〜ッ！」
さくら	「さっそく支配人に掛け合ってくるわー！（どどど）」
織姫	「あれぇ〜！手を離してくだ…（ガツン）痛ぁーーーッ！（ガンゴン）ひー…」
すみれ	「ああ、織姫さんが赤く染まっていきますわ…『赤い貴族』の名の通りですわね」
紅蘭	「織姫はんも、すっかり帝劇の一員やな。見事に芸に命張っとるで」
カンナ	「あの程度で流血するんじゃ、鍛えかたが足んねーな。こりゃ、また熱海で山籠りだな」
マリア	「和んでる場合じゃ無いでしょう！！待ちなさいさくら！ああもぅ、花組各員に通達！風作戦を実行よ！」
５人	「了解！」

仏蘭西・巴里の大神一郎の元へある日…

大神	「…アイリスの両親に会いに行くとき、フランス語を勉強しておいたのが役に立ったな…（ピルル、ピルルル、ピルルル）ん？キネマトロンの通信音？！…はい、大神ですけど…」
米田	「（どたばた）お、おぅ、大神か！俺だ、米田だ！」
大神	「米田中将？！…何か騒がしいですが、何かあったんですか？…まさか、帝都にまた敵が？！」
米田	「い、いや敵というか味方が…こ、こらお前達！」
さくら	「大神さぁ〜〜んっ！さくらですっ！あのあの、今度が花組で巴里の…ウゲッ！」
アイリ	「わーいわーい！お兄ちゃんだ〜！」
織姫	「チャオ！中尉さぁ〜ん！巴里でオトコ磨いてますかー？」
大神	「いいっ！？皆？！なんなんだ？！……織姫くん、酷いケガだぞ！？やはり新たなる敵が現れたのか？！」
織姫	「いえあの…これは敵というか味方が…」
マリア	「貴方達、いい加減にしなさい！！…申し訳ありません、支配人、隊長」
米田	「…オホン。…見ての通りだ大神。今の花組は…っつーか、さくらがだな、支えを失ってグラグラよ。…ここまでアクの強い面子を一つに纏めるなんて人間離れした芸当が出来んのはオメェだけだよ本当に…俺にゃあとても勤まらねぇや！…詳しいことは帰ってからだ。山口大臣には話は通ってる。まあ、向こうの大使館に出向するまでの短ぇ間だが、戻ってこい大神！花組の隊長はオメェしかいねぇんだ！」
大神	「その台詞は、一年前にも聞きましたよ…でも、何故急に？」
さくら	「そうなんです！今度大神さんで巴里に花組まで特別…う゛っ？！」
すみれ	「貴方が喋っていたら、話がまるで進みませんわ！」
カンナ	「さくらはちぃーっと大人しくしてような」
さくら	「もがーっ！もがーっ！」
レニ	「…隊長が出発した後、欧州演劇界と交流を深める目的で、花組の欧州特別公演を企画してみたらどうか、という話が出てね。…で、どうせなら、隊長の行く巴里にしようと。」
織姫	「でー、それなら中尉さんも参加して貰うのがいいんじゃないかってー」
米田	「まぁ…俺もとても駄目たぁ言える状態じゃなくてよ…駄目と言ったら即斬る、っていう一流の気迫がすぐそばに…まぁ、オメェもたまにゃみんなに会いてぇだろうし、それによ、しばらくやってネェから、鈍ってんじゃねぇかと思ってよ！（くぃくぃ）」
大神	「はぁ…やはり、自分はモギリですか…？」
米田	「だぁーっはっはっ！あたぼうよ！花組の隊長はモギリ、と決まってるんでぃ！…さて、誰に大神を迎えに行ってもらうか…」
さくら	「真宮寺さくら、只今より大神一郎中尉送迎の任に就きます！でわっ！(だっ！)」
アイリ	「さくらずるーい！アイリスが行くのーっ！」
すみれ	「抜け駆けは許しませんことよ！」
カンナ	「こればっかりは譲れねぇぜ！」
レニ	「感情で先走っては、任務の遂行はおぼつかない。ボクが行くよ」
かえで	「米田長官！」
米田	「おお、かえでくん」
かえで	「紅蘭が『極秘任務やで！』と言って、翔鯨丸で出撃しましたが、何か有ったのですか？！」
８人	「何ぃぃぃぃぃっ！？」
カンナ	「姿が見えねぇと思ったら、紅蘭の奴！汚ぇぞ！！」
マリア	「ちょっと…！紅蘭一人で行ったの？！……まずいわよ…」
織姫	「そーいえばそーですねー…」
由里	「米田長官！大変です！翔鯨丸、洋上で謎の爆発により爆沈しました！」
全員	「……。（お約束ははずさない、見事だよ紅蘭…）」
椿	「納得してる場合じゃないですよー！翔鯨丸だって霊子核エンジンを積んでるんですよ！核です核！ソロモンの悪夢ですよー！」
かえで	「はうっ！ゆ、夢組緊急出動ーッ！」
かすみ	「カテリーナさん、道香さん、すずさん、お願いします〜っ！！」
カテリ	『了解しました。急ぎましょう二人とも』
道香	『はい、お任せ下さいませ〜』
すず	『あぅ〜、お魚さんがぁ〜』
由里	「夢組の皆さんの詳細については、ＲＥＤのＨＰにでも行って下さいね」
大神	「………（俺がいなくなって…もしかして今、帝都はドキドキするほど大ピンチなんじゃないだろうか…）」

大帝国劇場・宴会の間楽屋

大神	「……結局連れ戻されてしまった…」
米田	「辛気くせぇツラァしてんなって、大神よ！…あ〜、まぁ、短ぇ間だが、大神の復帰を祝って、パーッといけぇーい！」
全員	「おーっ！」
大神	「…紅蘭、大丈夫か？」
紅蘭	「へーきへーき！うちは爆発慣れしとるさかい、どーってことあらへんて！」
大神	「（爆発は、慣れでどうにか出来るものなんだろうか？）」
紅蘭	「よっしゃー！ここで、ウチの１８番の皿回しを見せたるでー！」
織姫	「紅蘭さーん、早くやるでーす！きゃははは！」
レニ	「…この酒は…アルコール度数が高い」
大神	「う、みんなもう酒がまわってるのか？！」
すみれ	「しょ…しょおおおおいぃぃ…じゃなかった、ちゅうぅぅいぃぃぃ…」
大神	「す、すみれくん！君まで呑んだのか？！甘酒で潰れるほど弱いって言うのに…しかも泡盛じゃないかコレ…」
すみれ	「吐きそう〜…気持ち悪いですわ〜…もしかして、二人の愛の結晶が〜」
カンナ	「出来ねぇっつーの！ったく、だらしねぇーぞすみれ！泡盛ぐらいでへばりやがってよ！」
すみれ	「あなたと違って、わたくしはデリケートなのですわよ〜」
カンナ	「お、まだ減らず口を叩けるのかぃ？へへっ、そうこなくちゃなぁ！ホレホレぐいっと！」
すみれ	「はうぅぅ〜！ア、アルコールハラスメントですわ〜！」
紅蘭	「そらそらーっ！大回転海老反りハイジャンプ分身皿回しやーっ！」
織姫	「紅蘭さん、素晴らしいでーす！」
レニ	「中国人は生まれたときから皿が回せるって、本当なんだね…」
さくら	「マリアさんも、生まれたときから回せますよね〜」
マリア	「………どういう意味？」
さくら	「だってぇ…ロシア人じゃないれすかぁ、ひっく。」
マリア	「さくら、貴方、ロシア人なら何でも回すと思ってるでしょう！？」
さくら	「あははは〜！違いまひたか〜？ひっく。」
アイリ	「きゃはっ☆アイリスだって、回すくらい出来るよ〜！２番アイリス〜…ミカサ、回しま〜すッ！」
全員	「回すなぁ〜〜〜ッ！！」

翌日・同劇場、サロン

大神	「いやはや、昨日は凄かった……で、巴里特別公演をやるって話だけど…」
マリア	「実は、具体的には何も決まっていないんですよ」
大神	「え？そうなのかい？」
さくら	「そうなんです。その話は大神さんが帝都に戻ってきたので、もう既に無意味な建前でし（ごずっ）…ふぐぅ…っ」
カンナ	「お、さくら、鳩尾なんて押さえてどうした？…はは〜ん、さては二日酔いか〜？」
大神	「さ、さくらくん、大丈夫かい？…部屋で休んでいた方が」
さくら	「ふ、へひ…平気です！二日酔いなんかじゃないです、もーばっちり健康オールオッケー！」
すみれ	「あ〜ら残念ですわねさくらさん？…部屋で寝てれば、見舞いに来た中尉と、二人きりの部屋でしっぽりと…（ひそひそ）」
さくら	「ううっ？！…お、大神さん、実は私、気持ち悪くなって…」
すみれ	「ま、絶対中尉を部屋になんか行かせませんけどね。（ふふん）」
さくら	「ふぬ…っ！？（お、おのれー）」
マリア	「もう、さくらは置いといて……それで、みんなで話し合って決めようと思うんですけど…」
紅蘭	「せやなぁ…そや！『帝撃戦隊コウブマン』ちゅうのはどないや？」
すみれ	「……なんですの、それは…」
紅蘭	「コウブレッド！コウブブラック！ブルーイエローピンク！ゴウライテンブに変形だ〜…って、田中公平やしバッチリやろ！衣装かて倉庫にあるし、アニメ版のＯＰは戦隊物みたいやしな」
カンナ	「ＴＶじゃなくて、ＯＶＡの第一期版な。…４年は長いねぇ…」
織姫	「……そんな物をパリでやろうなんて、紅蘭さん、正気ですかー？」
紅蘭	「甘いで、織姫はん。大衆演劇の基本はお笑いや！帝劇のコンセプトかて、『唸れ笑劇の帝国歌劇団』やないか」
すみれ	「私のパープルが入っていませんわ！それに、また私が悪の大神官役とかをやらねばならなそうな劇など却下ですわ、却下！」
紅蘭	「ウチのグリーンは、後から参入する２機の内の一機や！」
織姫	「……グリーンサイですかー…？」
さくら	「はいはいはーい！てっいあーん！太正浪漫ですし、『はいからさんが通る』が良いと思いまーす！」
マリア	「………ほほぅ？」
カンナ	「あぁ？…どんな話だったっけか？」
紅蘭	「要約するとやな、陸軍の偉いサンの娘のドジな剣術小町が、カッコエエ少尉と結婚するんやけど、ロシアで行方不明になるんや、で、記憶をなくしてロシアの金髪美女の男になっとった愛しのダーリンと、苦難の果てに結ばれるっちゅう話や」
織姫	「……なんか、露骨にさくらの考えが伝わってきますねー…」
マリア	「…やはり、貴方には教育が必要そうね、さくら…（チャキッ）」
さくら	「飛び道具っぷりなら、北辰一刀流はハジキにだって負けませんよ！（すちゃっ）」
マリア	「ピーカヴァヤダーンマァッ！」
さくら	「破邪剣征・桜花霧翔ーッ！！」
大神	「わーっ？！止めるんだ二人ともーっ！」
アイリ	「もー！ケンカする人、アイリス嫌いだよ！…そんな事より、ねぇねぇお兄ちゃん！この前、レニと活動写真を見に行ったら、帝国華撃団の話をやってたんだよ！だから、アイリス達もやればいいんじゃないかな？」
大神	「へぇ…俺達花組が活動写真にか」
レニ	「…隊長。蒸気演算機とキネマトロンをリンクして、映像音声データを保管してあるから、閲覧することも可能だけど…」
カンナ	「そいつぁ、是非とも見て見ようぜ、隊長！」

「（ベベベン！）サテ、悪しき者共の魔手が、今日も帝都に襲いかからんとシテおります。アア、危ウシ！帝都の威光も一朝の露と消え果ててしまうのでありましょうカ！」
「ヤァ、憎き帝都の西洋カブレ共よ！この天海の魔力をば持ってシテ、帝都、いや、東京（トウケイ）全土を灰塵とせしむる様をトクと見よ！」
「ワァ桑原桑原！」
「ヒャアつるかめつるかめ」
「わはははは！滅べ滅べ！西洋文明なぞ消え去れィ！」
「そこまでだッ！」
「うぬっ！」
「（ズチャーンチャチャッチャッチャカチャカ！） 光り輝く鉄（クロガネ）の 背の釜より沸き出る 百萬気圧のエナアヂヰ！守るも攻めるも日の本の 武備兵力の充実の その源は全てこれ！蒸気、蒸気、蒸気の力を今ぞ知れ！」
「エエイ、呑気にマァチなど奏でおって！姿を見せィ！」
「わははははッ！森羅万象山川草木荒らす者をば真ッ向微塵！熱き蒸気のたぎりにて悪を退治る頼れる味方！大東の守護神、帝国華撃団、参上！」
「オオ華撃団！よくこそよくこそ」
「ヤンヤヤンヤ」
「おのれ、こしゃくな西洋文明の犬共め！脇侍共、蹴散らせイ！」
「はっはっは、木ッ端侍如きなにするものぞ！その程度の攻撃で、帝都屈指のインテリゲンチャ達が粋をば凝らしたこの光武が些かたりとて参る物か！喰らへ蒸気噴射！（ぷしー）」
「ヒャアー！アチアチアチ！」
「剣呑剣呑！」
「猪口才な小童共！こうなればワシ自らが相手じゃ！見よ、我が大東流合気妖術の技の冴えを！かぁぁぁっ！一百天海ィィィッ！」
「ヤァこれわイカン！よし、皆の力を一つにするのだ！ソレ、蒸気大噴射！（ぶしゅしゅしゅしゅー）」
「ぐぅわあー！」
「ウム、悪をば滅して天下太平！しゃうりのポォズ、決めぇィッ！」
「……かくして偉大ナル帝都の平和は守られたのでありマス。次ナル華撃団の活躍や如何ニ！（ベベン！）」

紅蘭	「光武の蒸気は補助動力で、本当は霊子力で動くもんなんやけどな…」
マリア	「まぁ、帝撃の事は、国家機密ですもの、端から見てればあんな感じよ、きっと」
紅蘭	「確かに光武は、乗り手の霊力次第っちゅう、気合と根性でどうにかなる機体やけどな。最後には精神論が物を言う、実に日本軍にピッタリのモンやし…ぶつぶつぶつ」
由里	「あ、皆さん集まって劇の相談ですか？」
大神	「やぁ、由里くん。それにかすみくんに椿ちゃんも。…一応、華撃団の話にしようって事になったんだけどね」
かすみ	「あら、いいんじゃないでしょうか。確かに、列強に帝国の兵威を見せつける事にもなりますし、うまく使えば抑止力として国際政治にも…」
大神	「い、いや、そんな事までは考えもしなかったけど…」
加山	「ぃいやあ〜、大神ぃ！劇はいいなあ〜ぁ！…トウッ！」
由里	「あ、隊長！」
大神	「え？！由里くんは風組じゃなかったのかい？」
由里	「えへへ…実は月組と兼任なんですよ」
加山	「まぁ、そう言う事だ。古人曰、『２足のわらじ』…いや、それはともかく、大神よ、微力ながら、この加山雄一も力を貸そぉぉうじゃないか！」
大神	「そうか…ありがとう加山」
レニ	「これで、舞台のおおまかな方向は決まったね」
さくら	「じゃあ、こんなストーリーはどうでしょうか？」

山崎	「かつて、私達は一つの存在だった…光のミカエルと闇のルシファー…そしてとうとう２つに別れ…戦いが始まった…勝ったのは…ミカエルだった」
大神	「……」
山崎	「今にも消えんとするルシファー…サタンを救ったのは一馬だった…一馬は消滅しかけていたサタンを、その力とともに城に封印し彼を救った。光刀無形を形見のように胸に抱いて…だが、さくらはそのために呪われた姫君になってしまった」
大神	「呪われた…？」
山崎	「『裏御三家』に従属し、『破邪の血を継ぐもの』として常に破魔に尽すことを義務づけられ、自らが愛する少尉とは永遠に結ばれない…哀れな姫君…悲劇の神話さ…さあ、刀を捨てろ大神一郎！辛い思いをして帝都を守ってなんになる？！あやめ…ミカエルも結局は人々を守る事も、一馬を救う事もできなかったではないか！」
大神	「俺は負けない！貴様のように降魔になんてなるものか！…目を覚ませさくらくん！！俺は必ず君を守る…俺を信じて…俺は絶対さくらくんの王子様になるんだーッ！！」
さくら	「…大神さんっ？！」
山崎	「…？！ば、馬鹿なッ！？」
大神	「さくらくん…俺を信じて帰ってきてくれたんだね。うれしい…よ…これで俺は…君の王子様として終れる…」
さくら	「終…る…？」
山崎	「お前は…ミカエル？…お前はいったい何者だ？」
大神	「俺は『花』を支える『がく』…『花組』を守るもの…だから、さくらくんの為にお前を滅ぼす…ミカエルとルシファーを、もう一度一つにして…」
さくら	「だめ！！大神さん、そんな事をしたらあなたは…！」

加山	「さくらくん！」
さくら	「私を『さくらくん』って呼ぶのは加山隊長だけになりました…」
加山	「でも…大神の事を覚えていてくれるのは、俺以外では君だけだ…うれしいよ」
さくら	「本当に好きだったんですね…」
加山	「ああ…男とか女とか言うより…人間としてね。　まっすぐで、不器用なくらい素直で、かわいくて…強かった。コイツには敵わないと思う度好きになった…もう、会えないのか…」
さくら	「…大神さんは生きています」
加山	「！！…どうしてわかる？」
さくら	「これで」
加山	「二剣二刀…」
さくら	「大神さんが最後の瞬間に、私に投げてよこしました。…この４振りの剣は、日本を革命する力を封じたものです…そしてまだ…この剣は真に使われてはいない… 　　　　　　　　　日本は　まだ　革命されてはいない・・・　・・　・・・・・・・・・んです」
加山	「さくらくん？！」
さくら	「私は行きます…大神さんを捜しに…私達がもう一度出会ったときに、『それ』は始まるんです…」

　　　　　　　　　　　『大戦』は、あなたと私が…もう一度…

紅蘭	「ままま、まったあ〜ッ！！その展開なら、うちがヒロインやーっ！眼鏡でクセッ毛ソバージュで、声が渕崎なウチの〜ッ！」
さくら	「この展開だと、私の設定が必要なのよー！うっふふふ☆」
織姫	「……今更、少女革命ウテナですかー…？」
カンナ	「４年前には、まだ旬だったんだよ」
かすみ	「だっ……ダメですこれでは！！」
すみれ	「かすみさん…？」
かすみ	「だって…大戦がもう一度と言う事は、サクラ３と言う事…今までのパターンだと、また１年後です！、そしたら私は２７歳…この時代にこの年で独身じゃ、オールドミスのお局様です！」
マリア	「うっ…私達も…それに帝劇も、とても『少女歌劇団』などと名乗れませんね…」
アイリ	「だいじょーぶだよ！アイリスは、その頃ちょうど美味しそうに育ってるもん！」
さくら	「…季節は巡りー　また一つ歳を取ったー　私ーのー気持ちにー　春一番がー　今通り過ぎーまーしたー」
カンナ	「今聴くと、凄ェ嫌な歌だな、さくらのテーマソング…」
大神	「さくらくんのテーマ…確か（ＬＩＰＳ）…『関東甲信越・小さな旅』だよね？」
さくら	「………違います（ぴろりろりろん）」
大神	「いいっ！？２段階？！馬鹿な、あんなにそっくりなのに！」
かすみ	「うううう、本当に心に風が吹きます……私、そんなの耐えられません！サクラ３が出るなら…結婚してください、大神さんっ！」
大神	「いいっ！？」
十人	「それは却下ーッ！！」
さくら	「大神さんは私のーっ！もう、両親の承諾は得てるんだから！」
アイリ	「アイリスのパパとママも、お兄ちゃんなら、アイリスを幸せにしてくれるって言ったもん！」
織姫	「私のパパとママも認めてくれてまーす！」
すみれ	「当然ですわ！」
カンナ	「だけどよ、さくらは裏御三家だから、戸籍が無くて、法的には結婚出来ないんだろ？」
さくら	「…はい。それを知ったときは、大神さんも南米に行っちゃってて、立ち直れませんでした…剣の稽古も身が入らなくて、必殺技の射程が５マスにまで縮んでしまったものです…でも！『そこで武蔵は考えた』です！大神さんのお嫁さんになれないのなら、大神さんに真宮寺家に入ってもらえばイイって！」
レニ	「実に巧妙なトラップだったね、あれは」
紅蘭	「だまし討ちやで、ホンマに…」
さくら	「うふふ、ねぇ大神さん…」

　　　　　　　　　　　ヴィーッ！　ヴィーッ！　ヴィーッ！

マリア	「警報？！」
米田	「おぅ、お前達！何者かが、帝撃内に侵入しやがった様だ！」
加山	「何ですって！我々の防御網に引っ掛からずに侵入するなど…」
京極	「フッフッフッ……久しぶりですね、帝国、華撃団の皆さん…」
全員	「お…お前は…！京極慶吾！！！」

ジャッチャッ！チャラッチャチャン！チャリラリラリ〜　チャラ〜チャチャチャチャチャチャンッ！
「次回予告！遂にこの帝都に復活した、京極慶吾！果たして、その真意は？！帝撃はどうなってしまうのか！そんな事より私と大神さんの関係は？！次回サクラ大戦２、第１５話、『また燃える帝都』太正さくらに不満の嵐！…みんな戻ってきたんですね」
チャラッチャラッチャラッ！