レヴュウ・４
〜運命の矢〜


全員　「う〜んう〜ん…」
金剛　「うおおお？！待ってくれよオイ！俺はどうやって眠りゃいいんだよ？！……まてよ、全員眠ってる…？…よ、よし…へっへっへ、チャンスじゃネェかオイ！今の内に水狐のブロマイドを…」
水狐　（……ブンッ！（振り上げられる足））
金剛　「（金ッ！）ぶおっ！？…く…くく…そりゃネェぜ水狐よぉ…ふげ」
紅蘭　「（むっくり）…いかん、石炭入れるの忘れとった…」
大神　「うーんうーん…（ねぇさんそれじゃ動きまへんやろがー！）」
紅蘭　「誰かに突っ込まれた気がするねんけど…よっしゃ…あぁ、もうダメや…がく。」

ゆめみくん作動…ぷっしんぷっしんぷっしゅっしゅっしゅー！ぼーん！…かんからんかんかん…（螺子が跳ねる）

紅蘭　「…むー。（やっぱ、コレやらんとなあ？木喰はん？）」
木喰　「…。（懐〜か〜しい〜の〜…ドロンジョ様〜）」
大神　「うーん…（お約束はもぅエエねんちゅーが！）」



ほわんわんわんわんわ〜ん…（回想シーン突入音）

海軍の南米演習から、一年ぶりに帝都に戻った大神に、米田からの呼び出しが…


米田　「大神…戻ってこい！！帝劇へ戻ってこい！」
大神　「し…しかし、自分は今、海軍ですよ！やっとあの、苦悶と懊悩の日々から解放されて、海原の健やかさを満喫していたのに…」
米田　「オメェの居場所は帝撃なんだ！…帰ってこい、大神！」
大神　「ですが…」
米田　「で、大神よ、帝檄に戻ってくるに当たって、ひとつ、聞いておきてぇ事がぁある！」
大神　「自分の話を聞かない気ですね…」
米田　「花組の隊員の中で、特に、思うところのある奴ぁ、誰かいるか？あぁ？どぅだ？」
大神　「は？いえ別に、特に思…」
米田　「ほぉ〜ぉ…おぅ、大神！オメェ、１年前…つーか１のＥＤで、さくらの事、追っかけてったんだってなぁ？」
大神　「うっ！…そ、それは…」
米田　「見てみろぃ、１年前の帝都日報だよ」

　　　　　！！吻接ノ昼白 嬢らくさ寺宮真アタス劇帝　外号 報日都帝
　　　　　　　　　　氏郎一神大 係リギモノ場劇同 ハ手相オ −

米田　「なっさけねぇ記事書かれやがって！おぅ大神！」
大神　「………返す言葉もありません…」
米田　「オメェ、まぁさかこの状況で、あの娘から逃げれるたぁ、思ってねぇだろ？……大神、花組の隊員の中でぇ、特に、思うところのある奴ぁ、誰かいるか？あぁ？」
大神　「そ、それは…その…さ、さくらくん……です、はい…」
さくら『おっおがっみさあぁ〜〜んっ……』
大神　「ビクッ！」
米田　「へっへ…オメェが帰って来るって話したら、どうしてもついてくるってきかなくてよ…いいぃ〜やぁ〜、い〜い娘じゃネェか！なぁ！」
大神　「うう…流石は陸軍きっての戦略家…し、しかし、自分は海軍所属で…」
米田　「ほれ、辞令だ。海軍大臣と参謀本部の認め印付きだ！海軍少尉・大神一郎！貴官に以下の部隊への転属を命ずる。――陸軍対降魔迎撃部隊・花組！…ってなぁ？」
大神　「…抜かりは無いって事ですね（がっくり）」
米田　「だぁ〜ッはっはっ！皆、オメェを待ってるんだよ！ほれ、行ってやれ！」

さくら「大神さん…あ…だ、ダメですね私…大神さんに会ったら、あれも話そうこれも話そうって思ってたのに…みんな吹っ飛んじゃいました…えへへ」
大神　「さくらくん…」
さくら「でも、えーとえーと、あぁそうそう、紙で作った認定サクベルト、プライド１３で南米に流出してしまいました…シウバの膝が凄くて…」
大神　「いや…これは『サクラバ大戦』じゃないから、あんな２５００円のベルトのことは…」
さくら「あ、あはは…ごめんなさい大神さん、私、舞い上がっちゃって何言ってるかわかんなくなっちゃって…ああ、でも夢じゃない、本物の大神さんなんですね…大神さんが帰ってきても、目が覚めると夢で…私…私」
大神　「……さくらくん………ただいま。（にっこり）」
さくら「…はいっ！おかえりなさい、大神さんっ！（泣き笑い）」
紅蘭　「大神はぁ〜ん！」
マリア「隊長！」
カンナ「おーい、隊長ー！」
すみれ「少尉〜！」
大神　「ん？！み、みんな！」
さくら「ええっ！？…ちょ、ちょっと！これは私のイベントなのに…皆はもう出発した筈でしょう！？」
紅蘭　「いやぁ〜、実は帝都のメトロが急ぅ〜に全線ストップしてもうてな、花やしきに行くのが遅れたんでなぁ！」
マリア「花小路伯爵が、急な腹痛で、出発が伸びたんです…」
すみれ「祖父は一日やそこらでどうにかなるようなタマではありませんわ」
カンナ「ま、別に修行は急ぐわけじゃねぇーしな」
４人　「（クックック！（キラーン！））」
さくら「（くっ…確信犯ね…！）」
大神　「そうか、それは大変だったね…でも、皆に会えて嬉しいよ」
５人　「（あー、変わってないなァ、この人は…）」
大神　「皆、帝撃は俺達に任せて、安心して行ってきてくれよ！」
４人　「了解っ！」
米田　「んじゃ、大帝国劇場へ戻るとするか。…お前達も、しっかりやってこい！」
さくら「ああぁぁ…折角いいムードだったのにぃ…」
紅蘭　「あ、そうや！大神はん、一年振りやさかい、新システム知らんやろ？右下にゲージがあるやん？」
大神　「お、なんだこれ？」
紅蘭　「それが『大神性格ゲージ』や！大神はんが、軍人的堅い事ばかり言うとると、どんどん右に傾いていって、逆な事しとると、どんどん赤くなってくんや」
大神　「やな説明だな…」
紅蘭　「どっちかに偏りすぎると、大神はんが右や左にくるくる回るんや。で、均衡を保っとるとゆらゆら揺れとる」
さくら「大神さん、左に回ってますよ」
紅蘭　「で、ニュートラルでないと、真のＥＤにいけへんのや！…呪われし帝都に将門の怨霊がーっ！」
大神　「出るのか？！」
マリア「いえ、残念ながら出ませんけどね」
カンナ「…出ると思ったんだけどなぁ」
すみれ「ま、後はおいおいわかりますわよ」
さくら「…さぁ、劇場に戻りましょう」


大帝国劇場前
さくら「大神さん、ほら、帝劇ですよ！」
大神　「…ああ。こうして戻ってきてみると、感無量だなぁ…」
さくら「ここで私達は舞台女優として…そして帝都を脅かす敵から人々を守る戦士として、日々戦い続けるんですね…米田支配人にも、『恋人気分で浮かれていて貰っては困る、気を引き締めて行け』って言われましたけど、私もその通りだと思います…だから…私も…が、我慢します…恋人…が、が、我慢、我慢我慢…」
大神　「そ、そんな下唇を噛み切るほど辛い我慢なのか？！」
さくら「あの、大神さん、私、準備がありますのでここでっ！ううっ（たったった…）」
大神　「…………不安だ」

劇場内
アイリ「うっわーいわーい！！お兄ちゃんだお兄ちゃんだーっ！！」
大神　「アイリス！ははっ、大きくなったなぁ、画面いっぱいじゃないか！」
アイリ「もー！それはアップだからだよ！…でもアイリス、９ｃｍも大きくなったんだよ！」
大神　「胸が？！」
アイリ「身長が！！」
大神　「おおっと、また大神ゲージが左回りに…」
アイリ「…でも、お兄ちゃんが、そんなエッチな冗談を言うって事は、アイリスが大人になったって事だよね！えへへ、どう？ジャンポール、アイリス大人だよ！…じゃ、お兄ちゃん、アイリス用があるからまた後でね！（たたた）」
大神　「…はは、アイリスも相変わらずだな。…さて、帰ってまずやることといえば…ブロマイドだな、やはり」
椿　　「先に事務所で着任届け出さなきゃダメじゃないですか。一緒に行ってあげますよ」
かすみ「大神さんっ！…お久しぶりです、藤井かすみです」
由里　「私の事忘れてませんよね？榊原由里です！……どうしました？」
大神　「けしからんッ！なんちゅう乳かあぁッ！」
由里　「ひえっ！」
大神　「このゲーム、基本がバストアップだから気になるんだぁッ！…見てみろ、これがサクラ１の頃の君！９ｃｍは大きくなっとる！」
由里　「うふふふ、凄いでしょ？…１の時からそうでしたけど、やっぱり大神さんって女性の胸が大好きなんですねぇ…どうですこの服装、視線釘付けでしょー？」
大神　「うん。それが由里くんの自作ってのが、技術的にもセンス的にも飛び抜けてると思うよ、色々と」
かすみ「もぅ…二人とも何やってるの…はい、大神さん、着任届けです」
大神　「うーん、かすみくんの白い手袋も、上品なセクシーさが…」
椿　　「…ねえ大神さん、帝劇に戻ってきて、一番嬉しい事って何ですか？」
大神　「それはもちろん椿ちゃんに毎日会える事さ！」
椿　　「くすくす、本当に軟派なんですね大神さん！ゲーム開始１０分で、もうゲージが真っ赤になってますよ？」
大神　「ま、夜には真っ青になっちゃうんだけどね…じゃあ、俺はそろそろ行くよ」
３人娘「大神さん、これからもよろしくお願いしますね！」

大神　「…支配人の所に行くまで時間が有るな…どれ光武でも…」
かすみ「ここから先は通行止めです大神さん。」
大神　「うわあっ？！…な、何で前にいるんだ？！事務所から地下への廊下は一本道なのに？！」
かすみ「私も藤の姓を名乗る一族の端くれですから。…とにかくここから先は通ってはダメなんですよ、大神さん」
大神　「…どうしても？」
かすみ「はい（にっこり）…私が通さないと言った限りは、たとえ神仏でも通しません」
大神　「そうか、残念だな…あ、米田支配人！」
かすみ「え？」
大神　「今だ！（だだっ！）」
かすみ「無駄です。（しゃこんしゃこんしゃこん！）」
大神　「いいっ！？て、帝劇防御壁？！何故？！」
かすみ「私の拠点防衛能力を甘く見て貰っては困ります。…ここを突破するのは不可能ですから、フラグが立つまであきらめて下さい大神さん」
大神　「うう…部屋に戻ろう」

大神の部屋
大神　「懐かしいな、俺の部屋…（ガチャ）あれ？鍵がかかってる…おーい、だれかいるのかい？」
？？？「だーーれだ？」
大神　「…プリシスだろ？」
？？？「それはゲームが違います…」
大神　「じゃあ…エリカくん？」
さくら「エリカって誰ですかーッ？！（どばったーん！）」
大神　「や、やあ、さくらくん…えーと、おお、俺の部屋を掃除してくれたのか！」
さくら「あ、はい…ベッドとか私が独り…あああ、いえその！大神さんには綺麗な部屋に帰ってきて貰いたいって！」
大神　「そうか…ありがとうさくらくん…」
さくら「ふふ…それにしても…ダメですね私…恋人気分はいけない、我慢するって決めてたのに、もうこんな…」
大神　「さくらくん…」
さくら「うう、こんなに綺麗にベッドメークして、お布団も干して、準備万端……ううう、我慢我慢我慢〜！！」
大神　「そ、そんな、血の涙を流さなくても…（ボーンボーン…）おっと１２時か。じゃあ俺は支配人の所に行くよ」
さくら「あ、はい。行ってらっしゃい大神さん」
大神　「…………それからさくらくん、合鍵は俺に渡すように。」
さくら「あ、ついうっかり…えへへ…（（ちいぃっ！）←内なるサクラ）」


さくら「あ、大神さん、着任届けは出しました？」
大神　「ああ、隊長服も貰ってきたよ」
アイリ「あのね、今まで内緒にしてきたけど、これからお兄ちゃんの歓迎会をやるんだよ！」
大神　「本当かい？はは、嬉しいな」
さくら「私達、外で待っていますから、着替えてきて下さいね」

大神の部屋内
大神　「さて、着替え…（ぴぽっ！…ちゃっかちゃっかちゃっか…）いいっ？！こんな所で時限ＬＩＰＳ！？…えーとえーと、まずは服を脱いでと…ああっ！メッセージスキップしないと時間が！…次は、そう！ネクタイをしめるんだ！…さらに髪をとかして…おおぅ完璧だ！完璧すぎる宴会サラリーマン姿だ！」

さくら「………。」
アイリ「どーしたのさくらぁ？難しい顔して？」
さくら「アイリス、今、部屋の中では大神さんが、ＬＩＰＳに追われながら着替え中なのよ…下履き一枚の裸身を惜しげもなくさらして…」

　　　　　　　（ぴぽっ）　［のぞく。］　（ぴょ……ぴょ……ぴょ…）

アイリ「わっ？！超低速ＬＩＰＳ？！」
さくら「ああ、体が勝手に…」
アイリ「えーっ即断ーっ？！…さ、さくらぁ！ダメだよ、それじゃタダのヘンタイさんだよぉ！」
さくら「離してアイリス！私は、エリカとやらには負けるわけにはいかないのよ！」
アイリ「エ、エリカとやらって誰…？」
さくら「近い未来における最大の仮想敵よ！…キャラ立ちで私を越えてしまうかも知れない程の！…その途方もないキャラクター性にうち勝つためには、あえてヨゴレの道を選ぶ覚悟も必要なの！」
アイリ「………あえて選ばなくても、じゅーぶんにさくらはヨゴレだよぉ…」
さくら「えっへっへ…さぁ大神さん…鍵穴の向こうに魅惑の薔薇園…」
大神　「（がちゃっ！）いやー、ごめんごめん、待たせちゃったかい？（ガヅン！）…ん？」
さくら「……！！……！！！（ゴロゴロゴロ）」
大神　「さくらくん？！ご、ごめん！まさかそんなところに顔を出してるとは…」
さくら「……い、いえ…いいんですよ…ち、ちょっとアレクサンダー大塚ばりに額が割れて大流血しただけですから…（だくだくだく）」
アイリ「自業自得だよ、もう……それにしてもお兄ちゃんカッコイイ〜！服も髪もばっちり決まってる！…あ、脱いだ服もちゃんと畳んである！エライエライ！（ピンピロリロリン）」
大神　「ははは、隊長らしくしないとね」
さくら「…裸ネクタイで、葉っぱ隊の真似してた様な気がしたんですけど…」
大神　「まさか、そんな事はしないさ！…さ、二人とも行こう！」


楽屋
米田　「それでは、大神の復帰を祝って、乾杯！」
全員　「かんぱ〜い！」
米田　「おっと、そうだった。…実は、大神の復帰以外にもう一つ。…花組に新しい隊員が加わることになった」
大神　「本当ですか？！」
さくら「わぁ！新しい仲間が増えるんですね！」
米田　「ああ、もうそこに来てるよ。…おう、へぇんな！」

　　　　　ドアから強烈な光があふれ出し、逆光と共にドッギャァァンと織姫登場！！

織姫　「チャオ！みなさ〜ん！ソレッタ・織姫どぅぇ〜ス！」
全員　「（…黒人？！）」
米田　「コイツが、今日から花組に加わることになった、ソレッタ・織姫だ。あー、織姫の家は、『イタリアの笑う太陽』と呼ばれて…」
織姫　「それは、ピエトロ・コンティーでーす！！私の家は、『赤い貴族』と呼ばれる、イターリアでも名門中の名門なのでーす！そこんところ間違えないよーにするでーす！」
全員　「（…しかも、変なガイジン口調？！…むしろペガサス？！）」
織姫　「にしても何ですかー？このせまっちくってボロっちぃ劇場はー？もー色々とちょーサイテーってカンジ！」
全員　「（さらにコギャル口調？！）」
織姫　「…最初に言っときますケドー、私、ニッポンのオトコ大嫌いでーす！ニッポンのオトコ、軟弱で優柔不断で小ズルイでーす！側に寄られただけでチキンスキンがでまーす！」
全員　「一体お前はどこの人間だーーっ！！」
織姫　「人の話聞いてなかったんですかー？頭悪い人達ですねー！私は、イッターリアの、名！門！なのでーす！」
大神　「イタリア人が何で『チキンスキン』なんてバッドエングリッシュ使うんだ！…っていうか、イタリア人ならイタリア語2を話せ、伊語を！！」
織姫　「ふっふーん、この高度なトークについて来れないとはー、やっぱり日本のオトコ、レェェヴェルが低いですねー！」
大神　「ふぬっ…！こ、このガングロコギャルのなんちゃってイタリアンめが…っ！」
米田　「まぁまぁ、挨拶はそれぐれぇにして、ま、座れ！」
織姫　「わっ、な、なんですかコレー！床が草で出来てまーす！信じられまセーン！！」
さくら「うふふっ、織姫さん、これは『畳』って言うんですよ。有事の際には、武器にも防具にもなる、優れた床材です。日本の文化ですよ」
織姫　「タタミー？…床を草で作るなんて虫が湧きそうでーす！やっぱり日本人…（シュカァァァンッ！）ひいいっ？！（ビイィィィン…）」
由里　「…矢文？！」
かすみ「一体何処から？！」
大神　「…なんて書いて有るんだ？」
椿　　「え、えーっとですね……」

　　　『それ以上、畳を愚弄する言を為さぬ様に願います。…次は外しません。　――タタミゼ・ジュンヌ』

織姫　「タ、タタミゼって誰ですかーっ？！」
さくら「近い未来からの警告文ですよ、これは！」
織姫　「…あーもぅ、気分が悪いでーす！私、部屋に戻りまーす！！」
大神　「あ、おい、織姫くん！…悪い、俺は織姫くんを追いかけるよ！」
さくら「ええ、こちらはイイですから、織姫さんを！」
大神　「すまん！おーい、織姫くーん！（タッタッタ）」
アイリ「………」
米田　「………」
３人娘「………」
さくら「………」
由里　「……で？なんだってあんな人を連れてきたんですか、米田中将？」
米田　「支配人って呼べって…ま、まあ何だ、マルドゥック…もとへ賢人機関からの推薦で…性格にちょいと難がある、つーかバカですが、星組の中では戦士としても女優としても一級品だから、って言われてよ…」
アイリ「でもぉ、アイリスはともかく、さくらはあんな風に言われたのに怒らなかったよねぇ？」
さくら「ええまぁ、あの手の性格のあしらい方は、すみれさんでたっぷり勉強させて貰いましたから。…それに、あれだけ日本人男性を嫌っているなら、大神さんに近づくこともないでしょうからね、うふふ」
アイリ「…そこが本音なんだね…」


（ちゃりらりららららっちゃん、ちゃっちゃっちゃーんちゃん…）――大神の部屋・夜
大神　「はぁ…織姫くんにはまいったなあ…あんなキョーレツな人材、どうしろってーの……はっ！？米田長官、俺を呼び戻したのはこのためか？！…サクラ１も初期は、田舎から出てきてついてない大失敗ばかりやって周りを怒らせる娘とか、超能力を忌み嫌われ部屋に閉じこめられて、ぬいぐるみにしか心を開かない薄気味悪い幼女や、プライドの高さや育ってきた環境のために、高慢に振る舞う事で自己を保つしかなかったお嬢様、戦争で人を殺しすぎ、愛する人も失い、ＮＹの闇社会で人を拒絶して生きてきた美女などなど、よくこんな問題児ばかり集めたもんだって言うぐらいの壮絶な部隊だったしなぁ…『米田君、どうかね花組は』『花小路伯爵…あの部隊は…難しい』とか言っておきながら、『隊員一人一人を導いてやるのが隊長の務めだ！』なーんて無理難題ふっかけやがって、俺は心理治療士じゃないっての！稲垣吾郎でも呼んでこいってんだコンチクショウ！！」
さくら「（コンコン）…大神さん、いますか？」
大神　「うわあっ？！…あ、ああ！大神はいますＹＯー！！」
さくら「ＹＯーって……どうしたんですか、そんな慌てて…はっ？！もしや…（くんくん）」
大神　「…？…さくらくん？」
さくら「いえ、あの慌てぶりから、もしかして独り…あああ、いえその！よ、米田支配人が、夜の見廻りをって…」
大神　「見廻りか…よし、気分転換に一ついくか！」
さくら「今晩は、私も見廻りますから。…あ、そうだ！織姫さんも誘ってみてはどうでしょうか？」
大神　「織姫くんか…そうだね、彼女の問題は早急にケリをつけないとな…」


織姫の部屋
さくら「というわけですので、見廻りに行きましょう織姫さん」
織姫　「何が『というわけ』ですかー！…私、もうそろそろ寝るつもりだったでーす！そんな雑用、私には相応しくありませーん！レヴェルの低い、そこの人物にでもやらせとけばいいのでーす！」
大神　「…………。」

　　　　（ぴぽっ！）　［殴って言うことを聞かせる］
　　　　　　　　　　　［はたいて言うことを聞かせる］
　　　　　　　　　　　［シバイて言うことを聞かせる］（ぴょっぴょっぴょっ…）

さくら「わーっ？！お、大神さん…いえ、これはタイミングＬＩＰＳ！少し待てばもっとましな選択肢が…」

　　　　（ぴぴーっ！しゅっしゅっしゅっ！　ぴぽっ！）
　　　　　　　　　　　　　　　　［殴る。］

さくら「あ゛ーっ！待っちゃいけないパターンだったーっ！」
大神　「ふぬーっ！！（ぶるぶるぶる）」
さくら「大神さん、我慢、我慢です！！……よ、よーし、タイムアップ…」
大神　「ふーっ、ふーっ…」
さくら「お、お、織姫さん…ね、ね、考え直して見廻りに行きましょ、ね？えへへ（引きつった笑い）」
織姫　「………（汗）。そ、それじゃ、少し時間を上げますからー、私をその気にさせて見せるでーす。長くなるようなら私寝ますからー！（ぴぽっ）そーれ、ちゃっかちゃっか…」
大神　「ゲッ？！また時限ＬＩＰＳ！…あーまたメッセージ読んでる時間がない！単刀直入いい気分転１０時までだよ！」
織姫　「メッセージ飛ばしすぎですねー…この程度でへこたれてる様では、とても『ずっといっしょ』の桜子攻略は出来ませんねー！」
さくら「ずっしょ？…３秒もないＬＩＰＳな上、どの選択肢を選んでも好感度が下がるという、あの伝説のゲームですか？！」
大神　「そんなの、織姫くんより酷いじゃないか…」
織姫　「ま、なかなか面白かったので、つき合ってあげまーす。７代奉って感謝するがいいでーす、大神ボーイ＆さくらガール！」
さくら「ここは『決闘者の王国（デュエリスト・キングダム）』じゃないですから、そんなペガサスっぽい呼び方しないで下さい。」
大神　「…はぁ…よし、気を取り直して行くぞ！…まずは昼に行けなかった地下からだ！」


かすみ「ここから先は通さないと言った筈ですよ、大神さん」
大神　「うわーっ？！何故いるーっ？！家に帰ったんじゃないのか？！」
さくら「…これ、等身大ＰＯＰと蒸気レコーダーですよ。」
大神　「……こんなもの、わざわざ仕掛けていくなんて…」
さくら「でも、地下はまだ、お風呂とか改装中なので入れませんよ」
織姫　「バスですかー。ローマの浴場の様に、総大理石で彫刻なんかが並ぶ、ゴージャスなのですかー？」
さくら「いえ、和風のお風呂ですよ」
織姫　「和風ー？…まさか、また草で出来てるなんてこ…（シュカァァァンッ！）ひいいいっ？！（ビイィィン…）」
さくら「あ、矢文。」

　　　　『総檜の浴槽は禅の御霊です。ゆめゆめこれを軽んじる事なき様。　――タタミゼ・ジュンヌ』

大神　「檜のお風呂はいいよね、落ち着くし、日本の心だよなぁ」
さくら「そうですねぇ…」
織姫　「ひーっ、ひーっ…く、首をかすめていったでーす…少尉さーん！見廻りなら、このタタミゼとやらを即刻捕らえるのでーす！！和んでるんじゃないでーす！」
大神　「（ぼーんぼーん…）お、１０時だ。見廻り終了だな。」
織姫　「コラーッ！不審者が現場に潜伏してるのに、時間ピッタリに止める奴があるですかーッ！！」
大神　「与えられた仕事に文句を言わず、黙って正確に遂行する。…それが隊長としての俺の責務さ」
織姫　「その台詞、ここで言ってもシマりませーんっ！！」
大神　「フリー移動の時間制限は厳しいんだ。…なに大丈夫、織姫くんが日本をナメた口きかなきゃ射られる心配ないから」
さくら「タタミゼさんは近未来からの警告者ですから、夢・月組に任せて私達は戻りましょう、ね？」
織姫　「ムキーッ！納得行きませーん！！やっぱり日本人信用ならないでーす！」


翌日――事務所・夕刻
椿　　「にゅっうか、入荷っ☆…んにゅ？事務所から何か…」
かすみ「…はぁ…大神さん…どうですか…？」
大神　「ん…っ…も、もうちょっとで…」
由里　「…大神さぁん…ねぇ、まだ…出ません？」
大神　「ゆ、由里くん！…ま、待って！」
椿　　「（どばったーん！）な、な、な、何やってるんですかーーーっ？！（しのむ状態）」
３人　「…伝票整理だけど？」
椿　　「まっ、紛らわしいーっ！？（がびーん）」
大神　「１３３…っと！よーし終わった！」
由里　「やっと数字が出ましたね、もぅ…足して…っと、はい」
かすみ「…合ってますね、ご苦労様です大神さん（にっこり）」
大神　「やっと自由かー！…そうだ椿ちゃん、ブロマイドでも…」
椿　　「ブロマイドは月一枚がルールですよ」
大神　「あ…そうだったね」
椿　　「でも、日頃からご贔屓にして貰ってるお客様には、ビッグな特典もつきますから！」
大神　「お正月スペシャルブロマイド、今回もあるんだ」
椿　　「ええもう、星７つくらいのスーパーレアばかりですよ！…でも、最近グールズによる違法コピーが問題になってまして…なんでも、リーダーのキングと呼ばれる人物はキスティス先生なんですって。…由里さん情報だと。」
大神　「グールズ？！ってか、何故キスティス先生？！……じゃあ、３枚の神のブロマイドとかあるのか…？」
椿　　「１枚は私が所持していますよ」
大神　「な、何？！…じゃあ、残りの２枚は事務…」
アイリ「お兄ちゃーん！」
大神　「ん？！どうしたアイリス？！」
アイリ「大変だよぉ、さくらと織姫が…」


舞台
織姫　「何度言ったらわかるですかー！そんな練習必要ありませーん！」
さくら「ですけど、台詞合わせは、大切なお稽古ですよ！」
織姫　「チェリーさーん、いえさくらさーん！…あなたカンチガイしてますねー。演技に必要なのはインスピレーションでーす！舞台は戦場、そこに上がると言うことはバトルということ！大体、台本通りにしか出来ない役者など３流でーす！アドリブでの駆け引きが熱いのでーす！少しは千葉繁や広川太一郎を見習うでーす！」
さくら「でも！台詞合わせは、お互いの呼吸を合わせるために絶対必要なお稽古です！…織姫さんも花組の仲間ですから、私、早く花組のみんなと仲良くなって欲しくて…」
織姫　「…仲間？…ハン！いつから私が仲間になんてなったですか！…はっきり言って、貴方達と私では、演技も！戦闘も！全てに置いてレヴェルが違うのでーす！貴方達一般人には練習も必要かもしれませんケド、虎や狼は修練なんて積まなくても十分に強いのでーす！まったく…貴方達の仲良しごっこには付き合っていられま…」
大神　「狼虎滅却ーっ！（スカーン！）」
織姫　「アウチ？！な、何するですか、このスカポン軍人！！」
大神　「『お宅の娘さんは協調性がまったく有りません。一度ご両親と面談したいので学校まで』…と通知票には書いておこう」
織姫　「おっ、親は関係ねぇーだろーが、親はー！でーす！！」
大神　「やれやれ、まったく困った生徒だ。しかし、このＧＴＯ（グレートタイチョウオオガミ）が必ず…」

　　　　ヴィーッ！　ヴィーッ！　ヴィーッ！

織姫　「な、なんの合図ですかー？！」
さくら「敵襲です！！帝都に敵が現れたんです！！」
織姫　「敵？……ふーん、いいでしょー…その敵とやらを蹴散らして、貴方達に世界のレェヴェルと言うものを教えてあげまーす！」
さくら「一緒に戦ってくれるんですか？！」
織姫　「ふん、貴方達など単なる足手まといでーす！私一人で十分！…それに、日本でひと暴れしたいと思ってた所でーす！こんな狭くてジメジメした国…（シュカァァァン！）ひいいい？！（ビィィィン…）かっ…髪の毛に刺さったーっ！刺さってるのでーす！！」
アイリ「もー！織姫ー！置いてっちゃうよー！！」
大神　「………世界のレヴェルって…バカのレヴェルじゃないだろうな…」


→戦闘パートへ。（ピッ）

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