甲斐です。
「るーるるる〜るーるりら〜るるるらーりーら〜（がらごろがらごろ）」
「うぉーい、マルチ、大丈夫か〜？」
「はいっ！マルチといえども、それなりにロボですから、パワーリミットの設定値を変更すれば、このくらいの荷物なら平気ですぅ」
「そのうち、乗り物とかが手に入るだろうから、それまで荷車で我慢してくれ」
「…荷車はいいけど、その”産地直送”だの”フィッシュベル名産”だのの登りは取りなさいよ！旅の商人じゃないのよ！？」
「で、でも、アスカさん、せっかく饅頭行商用の荷車をくれた道具屋さんに…」
「アスカって言うなーっ！！」
「はうう〜！で、でもでも、アスカさんはアスカさんだから…」
「はっはっは！お前これからもっと驚くから安心しろ！…そういえばアミットさんに会ってこなかったな」
「う〜…どのツラ下げて親に会えと…それにしても、ドラクエ日記数あれど、たかがふくろが此処まで自己主張してるのは見たことがないわ」
「…純粋なプレイ日記なんて思われてはおらんだろうが、割と純粋にプレイ結果通りに綴られてるんだぞ」
「へ？そ、そうなの？！」
「ああ。ダメージ数値とか、買い物とか、あめふらし倒した後速攻シスターのトコに行ったとか、お前やふくろがアスカやマルチだとかな！」
「きぃぃっ！プレイヤー自体が純粋じゃなかったーっ！！」
「はっはっは。嘘を言う時は、３分の真実を混ぜるのが正しい嘘だからな！…そうゆー事を、こうと言い切ってしまうと、人はそんなもんだっか？と思ってしまう。これが［納得力］だ。説得力は欠片も無いが！…DQやってない人間には、どこまで本当で、どこまで嘘かよくわからんだろう」
「要するに、ノリと勢いだけで、人生渡って来てるのね…」
「……テメェら！さっきから、人が倒れてるのに無視してんじゃネェ！…野郎共、集まれ！…エテポンゲもだ！」
「ふん…山賊共め、フォズ様の聖なるダーマを荒らすとは不届き千万！退治てくれようハンサム侍！行くぞ！」
（でんどんでんどでんどんでんどん でーんでんっ！）
アルス達は生き埋めにされた！
「ふええええ〜ん！アルスさーん！アスカさーん！ガボさーん！大丈夫ですかぁ！死んじゃったらヤですぅぅぅ！（掘り掘り）」
「強い、強いぞ、あの山賊…」
「私のお預かりしていた道具と、所持金の半分は無事ですぅ…」
「勝てないわよ、今のまんまじゃ全然！魔王の手下をバリバリ駆逐してきた私達が、何で山賊に勝てないのよー！」
「ＤＱの山賊って強いからなぁ…カンダタとかさぁ…修行が必要だぞ…」
「…そうですね。やはり負の気が強すぎますか…一段落付いたら、あの闘技場は地下に埋めてしまうのがよいでしょう。…では、次は宿屋の宿泊料の…」
「フォズ様、お客様が参っております」
「何だ？フォズ様は今…おっ？」
「いよう、お元気？」
「あ…アルスさん？！どうしたのですか？！」
「ん…旅だったばっかで、決まりは悪いんだが…少々ここで修行をし直そうと思ってさ。まあ、なんだ、神殿回りにもまだ、魔物が多いし、その、修行がてら退治して回ろうかと…そんな感じで…迷惑かな？」
「そんな！迷惑だなんてとんでもありません！…凄く助かります…あの、修行ということは、しばらくご滞在に…？」
「ええ、まあ…そのつもりなんですが…」
「そ！そうですか！（ぱああっ）」
「（おやおや（笑））…どうしたアルス？いつになく歯切れが悪いじゃないか？」
「…う、うるせーよ、いらん突っ込み入れるな」
「（山賊に生き埋めにされて修行のし直し、なんて、とてもフォズ様には言えないわよねぇ…カシムは勘違いしてるみたいだけど）」
「では、フォズ様、会議は中断して休憩にいたしましょう」
「え？！…あ、そ、そうですね（かあっ）…こほん。それでは…いえ、会議は明日改めて開くとしましょう」
「それじゃあ私、お茶を入れてきますね！」
「おっと、私も手伝いましょうかね、マルチさん」
「…あれ？」
「でも、また会えて、とても嬉しいです、アルスさん、アスカさん、ガボさん」
「ちょっとまったーっ！！今、あたしの事、アスカって…」
「？どうしたんですか、アスカさん？」
「え？！あれっ？！なんでフォズ様が…」
「くくく、まだ分からんのか、アスカ」
「ど、どういう事よー！」
「マリナン様の力とはな、［物の真の名を書き換える］事なのだ！だから、ふくろも名前が付いたとたんマルチになった。すなわち、お前は生まれたときからアスカだったと言うことになっているのだよ！」
「がーーんっ！！」
「あの、あのですねアルスさん！あれから…」
「はは、それじゃマルチの入れたお茶でも飲みながら…」
「みんなぁ〜、私はマリベルよ〜…」
数ヶ月後。
「イオラ−ッ！」「イオラーッ！」「羊達、オイラに答えろ！」
「だめだかなわねぇ〜！（ぴゅ〜）」
「ふ…山賊など物の数ではないな…」
「何抜かしてんのよ！あんなちみっちゃいボスに、貴重な世界樹の葉使ったのは誰のせいよ！」
「…うぐぅ」
「さて、石版が集まったわよ。次なる世界の奴らにも、美少女アスカ様の大活躍を拝ませてやらないとね！行くわよ下僕達！」
「うぐ…すっかり開きなおっちまった…」
| まえ | もどる | つぎ |