第２２話

甲斐です。
「詠美ちゃん様さん」が妙に気に入って（笑）


「はうー…ハーブティ美味しかったですね〜！このマルチも、大変勉強になりました！」
「あれ？あんた、モノの味わかるの？」
「はいっ！そんじょそこらのマルチとはモノが違いますから！この通り、高感度味覚センサーもバッチリ装備です」
「うわっ！［神の舌］って書いてあるぞ？！」
「そんな事より、リートルードですよ〜」

「ふっふっふ…ついに来たか…［世界ランキング協会］！！」
「ふーん…アルス、アンタ３部門とも２５位以内に入ってるじゃない」
「アスカさんなんて、かっこよさ部門１１位ですよ〜、世界でそれだけ美しいんですねぇ」
「にゃはは！もっと誉めて、讃えて！かしこさだって９位よ！」
「ちぇー…すばやさ部門でもあれば、オイラ一番なのにな」
「しかし、芸術の街か…バロックのおっさんの名声きわまれりって感じか。猪ノ坊旅館も健在だし」
「あ、ランキング協会に上があったのね…何かしらこのホール」
「ここは、ランキング一位の授賞式などを行う場所です。月に一度のこみパでは、人であふれ返りますよ」
「こみパ？！」
「ええ、かの天才建築家バロックの一人娘エイミが、その作品を売りに出したのが始まりとか…貴方たち、バロックタワーはご存じですか？…バロック最後の大仕事として有名な、からくり仕掛けの塔ですが、結局、バロックは最後まで造ることが出来ず、娘のエイミが引き継いで完成したと伝えられています」

閑話休題。

あの後、結局、バロックは娘と暮らすことになり、エイミは父の技と性格をすっかり受け継いでいた

「いや、ちょっとまて、バロックは名乗りでないで娘と暮らしてたぞ？」
「バロックの方が優しくなってたけど？」

やかましい。

「…ほう、さすがはこの大天才バロック様の娘だ、なかなかの作品よ！まぁ、オレの天才っぷりには遠く及ばないがな！」
「ふふん、このエイミちゃん様の、ちょお天才っぷりが追い越すのも、時間の問題よ」
「抜かしやがれ。芸術活動以外じゃ何の役にもたたんくせに！皿は割るわ布団は破るわ階段から落ちるわ勉強は出来んわ…んだから未だに肩書きが［やどやのむすめ］なんだよ」
「うみゅうぅぅ……よっし！」

「転職をご希望ですか？」
「そぉ！このエイミちゃん様を、どーんとちょお芸術家に転職させてね！」
「は、はあ…えーと、エイミちゃん様さんとは、変わったお名前ですね…」
「んー、前にアルスって人が、私をそう呼んでねー、あれ以来私はエイミちゃん様なのよ」
「アルス？…あの、その人は、こう緑の服を愛用している、ワイルドな髪の素敵な殿方では…？」
「そそ、まぁそんなカンジ。リートルードがヤバかったとき来て、街を救ってったのよん」
「まぁ…！（アルスさん…旅先でもご活躍なされているんですね）」
「でさぁ、その人に私、階段から落っこちたときに、ぎゅーっと抱きしめられちゃってさぁ！離してくんないのよ。ありゃあ、このエイミちゃん様のミリキにちょおメロメロだったのね！」
「ええっ？！…そ、そんな」

　フォズ様は「今時メロメロなんて誰も言いません」というツッコミも出ないほど動揺した！

「で、転職転職早く早く！」
「あ…はい…えーと、エイミちゃん様さんはゲージツ家として生きていく事になりました…コミックマスターＪを目指して頑張ってください…（どよーん）」

閑話休題終了。
「…と、言うようなことが、バロックタワーの秘密の石碑に」
「記されてないわよ。」