甲斐です。
「だれもいなーい…」
「一晩経ったら誰もいなくなっちゃったわね…」
「と、言うわけで、私たちは今、アポン村なんですが、村のみなさんが消えてしまいました」
「キツネにバカされた…って訳でもないわね、建物はあるし」
「…仕方ない、他に行こう…次は確かフ…」
「フォズの村とか言ったら、泣くまでぶつわよ？」
「いくら何でも、そんなベタしないよ…」
「というわけでフズ村ですが」
「だれもいなーい…」
「一晩経ったら誰もいなくなっちゃったわね…」
「だーっ！…怪しいのは、噂のみが先行する、くだんの老楽士なのだが」
「次に言ってみましょう」
「ハーメリアに到着ですぅ〜」
「ハーメリア？…ああそうか！今回のネタは、［ハーメルンのヴァイオリン弾き］なのか！」
「音楽で人々を連れ去るってあれ？」
「うむ。しかし、俺らだけ、寝こけていたわけか？…はて？」
「あれじゃない？最初から演奏聴いてないと効果が出ないとか…あら？」
「おーい、老楽士が演奏してるぞ！」
「よし、行こう！」
後にプレイヤーは、［ハメルンの笛吹き］が正しかったことを思い出した…
「いやあ〜…心が洗われるような演奏でした！」
「ぐはっ！間に合ってねぇ！」
「おや旅の人、あの演奏を聴けなかったのですか！それは一生モノの後悔ですなあ！」
「くっそぉ…いったいどんな演奏だったのか…きっと［今がその時だ！］とか、［勇者王誕生！］とか、イカスやつをガツンと歌っていたに違いない…」
「あのねぇ…老人がそんな血管切れそうなＯＴＡＫＥＢＩソング歌うワケ無いでしょ…」
「ふんだ！もういい、今日はもう寝る！」
その日の真夜中、広場から、妙なる音楽が聴こえてきた…
人々はその曲に誘われるまま、ふらふらと旅の扉に消えていく…
「チェンジ、ゲッタアァァァァァァッ！」
「だーかーらー！歌ってないってそれは！！」
「でもよ、どっかで聴いたことある曲だな？」
「なんでか、ムカツク記憶に繋がってる気がするんだけど…」
「ええい追うぞ追うぞ！こうなったらなんとしてもゲッターを歌ってもらう！」
山奥の塔。
「細かいことは飛ばして…最上階で老楽士発見」
『もーしも俺が弾かなけりゃぁこーこで神が降りなけりゃぁ美しい我が嫁がぁ逃げてしまうぅ〜レベルはあるか羊は出るかぁ神を倒すためぇ２０ターン内で戦うのならぁ今がそのとっきっだっ！ゲッタァァァァッ！』
「…何気に未来への示唆に満ちた歌声」
「むむ？お主たち、どうしてここまで？」
「（どやどや）いやがったなジジイ！こんな塔に、大陸中の人間を押し込めて、いったい何をたくらんでやがる！」
「…悪かったと思っておるよ…じゃが、時間がなかった…ほれ…（ゴゴゴゴ）」
「な、なんだあ！？海が…」
「つっ、津波だああああ！！」
「ひえええ！大スペクタクルだぞアルス！」
「わわわ、死ぬっ、こんな所にいたら死んじゃうわよ！ねえアルスってば！！」
「安心しろ。海は俺を殺さない…何故かはわからんがそれが判る。怖いなら俺にしがみついてろ」
「…う、うん」
「しかし…ここはやはりやらなくてはなるまいな！（両手をあげ、若本規夫声で）くくく、さあ…我が下へ来たれ、津名魅ぃぃ〜！！」
「やんなっ！」
凄まじい勢いで海が押し寄せ、やがて大陸を全て飲み込んでしまった！
「あああ…村が…町が…沈んじまった…」
「ああ、クリクが沈んでしまった…ここでチョコクレープ買っておかないと、エナジーネーデでも買えないのに」
「クリク違う。」
「…ワシは占いによって、この災厄を知った…が、人々に話したところで信じてはもらえまい…じゃから強引に人々を避難させたんじゃよ…」
「フィリアさんもそうしていればよかったのにな…」
「だからクリク違うっつーのに。でも、こんな災厄を見抜いて、一人で大陸中の人間を操るなんて、アンタいったい何者よ？リン・ミンメイ？」
「ワシは…かつてユバールという一族の歌い手じゃった…だが、己の欲望のために掟を破ってしまい…それから、魔物に苦しめられる人たちを救うと心に決めて、旅を続け腕を磨いてきたが…」
「「「ジャンかお前ーーーーっ？！！」」」
「何と？！ワシの名を知っているとは？！」
「ジャンがこんなジジィになってるって事は…キーファのバカ…もう死んでるかもな…」
「キーファ？！…そういえばお前さん方はなんとなく…じゃがあれから幾年経ったものか…そんな若者であるはずがないのじゃが？」
「俺達は、時間を超えて旅する、時の異邦人だからな」
「ゴーショーグンチームじゃったか…それにしても異邦人…か…『その姿はぁ〜昨日までのぉ〜何も知らないわぁたしぃ〜貴方にこの指が届くと信じていたぁ〜時間旅行ぉおがぁ〜心のキズをぉ〜』」
「だあっ！［異邦人］なんてお前が歌うな！」
「後はぁ悲しみをぉ〜持て余す異邦人〜（ちゃかちゃかちゃ！じゃんっ！）…ふう。まあ、お前さんたちが、あのアルスさんなら話は早い…この災厄を引き起こしたのは、伝説の海魔人グラコスなのじゃ…」
「グラコス…そんなヤツ出てくるのか…」
「そやつが魔王に力を授かり、大陸を海に沈めるという離れ業を敢行しおったのじゃよ…やつは今も沈めた都市を己の城としているはずじゃが」
「要は、グラコスってヤツを倒せば一件落着なワケね？」
「じゃが、相手は海の底…どうしたモノかのぅ…」
「まあ、行ってみりゃ何とかなるさ。向こうから出てくるかもしれないしな」
「行ってくれるか、流石に勇敢じゃのう…どれ、ひとつお主らを讃えて歌ってみるとしようかのぉ…『ふいっしゅべるあるっひぃずべりぶれぶがぁ（フィッシュベルのアルス、彼はとても勇敢な男だ）ひぃのっあぁふらなすてぃだぁひぃずぶれいがあるっ（彼はどんな惨たらしい死に様も怖れない勇敢な男だ）そりっのーずくりっぷるあぁかってぃんざぺー（例え鼻を削がれ目をくり抜かれＯＯＯを切られようとも）』」
「…楽人を食って冬を越すぞ？」
「うーみーは広いなー大きいなー…」
「ＤＱでこんな絵を見るとはねぇ…あーあ、時空の扉が沈んでるわ…」
「ここら辺が、話に聞いた沈没都市のあった場所のはずですぅ…あ、下に見えますねえ…」
「うーむ…どうし…うぐっ？！て、手が…」
アルスの手の痣が輝きだし、海に紋章を描き出した！
大渦が現れ、海底都市への道を開いた！
「…アンタの手のアザって、いったい何なのよ…変よ、絶対変！」
「何にせよ、コレで進めるな…」
海底都市。
「可哀想ですぅ…死んだ後も亡霊として縛られているなんて…」
「久々にイライラしてきたわ…いい？潰すわよグラコスとやらを」
「何気に壺師ガイバラがいたが…ええい！妙な仕掛け作りおってグラコスめ！ゼルダの伝説じゃないんだぞ全く！壺壺壺壺！」
グラコスの間
「グハハハ！貴様らがくるのは判っていたぞ」
「違う！」
「何？」
「グラコスなら、『ゲハハハ』って笑わなきゃダメだろうが！」
「喧しいわ！貴様らにはコレじゃ…都市の亡霊よ、少しは役立ててやるぞ！」
『や、やめてくれぇぇ…』
『苦しい…苦しい…』
「違う！」
「今度は何だ！？」
「そこで苦しむのは、美しい娘さんや可愛い女の子だろうが！デブなオヤジやムサい荒くれ男が苦しんでどうする？！」
「ええい、かまわん！やれ、海底のゴース…」
「イオナズン！！（どがーん）」
「……えーと、もうちょっと躊躇いとか、苦闘とかの演出があっても…」
「ＡＩ戦闘にそれはないんだ」
「……だが、ゴーストは消えん。いずれ力つきて貴様らも仲間入りよ！」
「それはどうかのぉ…どれ、哀れな魂よ…『私に還りなさい〜記憶を辿り〜も一度星に惹かれ〜巡り会うため〜たまっしぃのルッフウラァ〜ン！』」
『うぎゃああ（ばちゅんばちゅんばちゅんばちゅん！）』
人々の魂は美しい旋律に乗って、ガフの部屋へと還っていった…
「わ、我が呪いを破るとは…貴様らただ者ではないな？！何者だ？！」
『ふいっしゅべるあるっひぃずべりぶれぶがぁ（フィッシュベルのアルス、彼はとても勇敢な男だ）』
「ビクワイエッ！（静にしてろ！）」
「ここに来た目的は、やはり…」
『トゥ、ファァァァイッ！（戦うためだ！）』
「シャラップ！（だまれ！）」
「…帰ったら山奥の塔、フランク人に制圧されてたりしないでしょうね…」
「ふん、モンティっぽいのもここまでだ！ゆくぞグラコス！」
「喰らえオイラの技！メイルストロムッ！！」
「ばっ…相手は海魔人だぞ？！そんな海技が…」
「（ぎゅおおお！）うぎゃああああ！」
「……思いっきり効いてるよ……ええいガンガンいけ！サポートは任せろ、フバーハッ！たたかいの歌！そーれハッスルハッスル！」
「ほう、アルスさん…貴方が先頭切って戦うと思ったのじゃが、援護役なのですな」
「ああ、戦況に常に留意して、味方が常に最高の力を発揮でき、かつ被害を最小限に押さえる様にするのが指揮官の役目ですからね」
「メラゾーマァッ！」
「ぐああああ！」
「よし！アニメ怪獣は、アニメーターが心臓発作で倒れたので消えたぞ！」
「おのれ…だが、貴様らも道連れよ！（バガン！）…これで戻れないな…共に海に沈もうではないか、ゲハハハハ！ぐはっ…」
「あっ？！」
「なんと…万事休すじゃのぉ」
「そそそそんな？！ちょっと、何とかしてよアルス！」
「脱出できない事より、もっと問題なことがある！…［グラコスの槍］は？！グラコス倒したんだから、あの格好悪くて使える槍は？！何でないの？！」
「そういえばないのぉ…ま、今回［おしゃれなかじや］がいないからあきらめる事じゃな。…どれ、逃げるとするか…『山奥の塔に行きたいな〜 はい、どこでもドア〜っ』（みょ〜ん）」
山奥の塔
「（みょ〜ん）…ほ。ついたぞ」
「…任意に旅の扉を開く技…ジャンよ…お前その技恐ろしすぎるぞ…精神支配の歌と合わせれば、世界征服だって出来ちまう…どうだ、仲間にならんか？」
「ワシはもう引退して、後継者を育てることに決めておるんじゃ。今回のことは、最後の大仕事というワケじゃて。…おお、海が戻っていきよる」
「…大陸一つ海に沈めるほどの奴なのに、なんでその技使わなかったのかしら」
「海魔人のくせに、メイルストロム効いたし、自分を巻き込む状況じゃ使えなかったんじゃないか？」
「ほっほ…奴の力はの、水かさを増す力なんじゃよ。いくら強くても、海底ではあまり使えんわな…さて…人々に感謝されるのは苦手での、ここで失礼するよ。…ワシ一人では今回は無理じゃった…これはお礼じゃ受け取ってくれ…じゃあの！」
アルスは［祈りの指輪］を受け取った！
「…ジャンの祈りって…めっさ天に届かなそうなんだけど…」
ハーメリア
「ありがとう勇者の皆様！…町の者皆で話し合い、勇者殿に、秘宝［人魚の月］を贈ることに大決定しましたのじゃ！受け取って下され！」
「おお？！…よぉぉぉっし！これで絨毯が手に入るぞ！」
「…［海に沈んだ都市にあったと言われる秘宝、しかし本物を見つけた者はいない］か。…あったり前よね、この時代から私たちが持って行っちゃえば、その間の時代には存在してないんだから。…幻の秘宝の一丁上がりって事よねぇ」
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