甲斐でしゅ。
「いやあ、絨毯はいいねぇ…おや、あんな所に小屋発見」
「あら、こんな所にお客様なんて珍しい…私はローズともうします」
「…確かに、空飛ばなきゃ来れないもんな」
「ええ、こんな所に住んでいるのにはワケがあるんです…私、はるか以前にリートルードのスタイルクイーンに選ばれたことが有ったんです…そうしたら私を一目見ようと人々が押し掛けてきて…それでこんな所にひっそりと暮らす様になったんです」
「ローズ…って、あのコンテスト不動の１位のローズさん？！」
「えっ…？ま、まだ記録が？！…あらあら…私はもうこんなおばあちゃんなのに…旅の方、協会に記録の抹消を申請したいと思いますので、手紙を届けて頂けないでしょうか？」
「ほう、あのローズさんが…はい、確かに本人の手紙のようです。ローズさんによろしくお伝え下さい」
「確かに素敵なおばあちゃんだったけど、当時はどんなだったのかしらね？」
「肖像画ならありますよ。…もっとも、絵ではその美しさの半分も伝えられませんが…」
「うわ…きれいな人…」
「だなぁ…うむむむ、確かに…」
「いやいや、老婦人となられても、雰囲気という物は変わらんでござるな」
「ありがとうございました旅の方…こんな所ですので、おもてなしも出来ませんが」
「いや、お気遣いなく。なあアスカ？」
「………。」
「アスカさん？どうしたんですか？」
「えっ？…ああ、いえなんでも…（髪の毛の先を摘んでみる）」
「（ちょっと微笑んで）ねぇ…アスカさん？少しこちらにいらっしゃいません？」
「は、はぁ…？」
「うふふ、殿方は申し訳有りませんがお待ち下さいませね」
「でりゃ、とっ、つりゃ！」
「むむっ、流石アルス殿！ぬん！」
「おっと、足元ががら空きだ、水面蹴り！」
「ま、まいったでござる！…いやはや、やりますなあ！」
「ふわぁ〜あ…アスカ達、なにやってんだぁ…オイラ、茶の飲み過ぎだよ」
「ふふ…皆さんご免なさいね」
「おう、アスカ…何してたんだ？」
「あ…いえその…まあ、アレよ」
「？？珍しく歯切れが悪いな…」
「野暮な詮索はしないのがいい男よ、アルスさん？…はい、これは手紙のお礼」
「靴？」
「…頑張りなさいね、みんなで！」
「先生！アルスさん達が知識の帽子を！」
「それでは、それを皆さんにお譲りしましょう」
「何ですって先生？！」
「もう、私には必要がない物なのですよ。私は、自分の頭脳だけで学者の道を歩んでいくつもりです……それに…臭いますよ、なにかそれ…」
「エテポンゲがかぶってたしなあ…マールーチ〜」
「ははっ！まさに、このマルチの本領を発揮するチャンスですぅぅ！！」
「…にしても、アズモフシナリオ、見事にはしょられましたねぇ…」
「まぁ、そんなわけでリートルードのランキングに出てみる事にした。けんじゃとスーパースターな事でもあるし」
「…アスカが、あんなしおらしく提案してきたトコなんて初めてみたぞ」
「まあ、俺もタキシードにインテリ眼鏡などかけ、普段ばさばさの髪も、きっちりオールバックにしてみたが…」
「うむ、アルス殿、イケてるでござる！悪の天才というムード満点でござる！」
「なんでやねん…しかし、この知識の帽子のデザインは…手塚治虫か？」
「何故かかっこいいんだよな、その帽子…」
「お待たせしましたぁ〜…じゃーん！ローズさんに教えてもらって、ちゃんとお化粧もしたんですよ！このマルチ、メイクテクを身につけました！ほら、アスカさん、早く早く！」
「や、やっぱり、結構恥ずかしいわ…え、えへへ…」
「ほら、きれいでしょー！」
「…………」
そこには銀の髪飾りを付け、ガラスの靴を履き、シルクのビスチェ
（と、ドレス）を纏い、月の扇を手にしたアスカが立っていた
元々素材のいい娘が、本気で化粧をして着飾った姿は
女神のごとく輝いていた！
「………」
「……ど、どうかな、アルス？」
「………」
「………や、やっぱり変かな？…そ、そりゃそうよね…私みた」
「…きれいだ…」
「…えっ？！」
「あ…（し、しまったぁぁ！何を口走ってんじゃ俺はぁぁ？！マジに行ったら場が続かないぃ！ど、どうすればぁぁ？！）」
「え、と…（な、なによ…茶化してくるって思ってたのに、そんなマジに言われちゃったらどう反応していいかわかんないわよ〜！）」
「（あうぅ〜！と、とにかくなんか言わないと…えーとえーと…しめさば？…いやそうじゃなくて！）」
「（ばっ…ばかぁ！黙ってないで何か言ってよ〜！は、恥ずかしいじゃないの〜）」
場の雰囲気が［気まずい雰囲気］に変わってしまった！
「いやいや、アスカ殿、美しいでござるなぁ！コンテスト優勝確実でござるよ！アルス殿も見とれるばかりでなく、しっかりエスコートするのが男でござるよ！」
メルビンが話に割り込んできた！
場の雰囲気が崩れた…
「「（メ、メルビン最高ォォォォッ！！）」」
心の中で涙を流す二人であった…結局、コンテストには二人とも優勝した…
「（アルスが世界最高の頭脳…普段見てるとバカそのものなのにね…いざって時は確かに頼れるし…人の上に立つ資質があんのかな…）」
「（アスカが…世界一の美少女…今まで我が儘で口うるさい家族みたいだと思ってたし、ずっと旅と戦いに明け暮れてたから、あんな姿見たことなかったしなぁ…）」
「…なんか変だな、アイツら？どーしたんだ？いつもなら何かと言い争ってるのに」
「みなさぁ〜ん！面白いもの手に入れましたよ〜」
「何でござるか？…リートルード裏コンテスト？」
「こちらでも、お二人が１位になってますぅ！」
「……［恋人にしたくないアイドルＮｏ．１］？」
「……［裏で何か企んでいそうな人物Ｎｏ．１］？」
「…くっくっく、やはりなぁ…黙って立ってれば…ってやつだなあ？アスカ？」
「な、なによー！あんただって『くっくっく』とか悪人笑いしてるから裏のある奴に見られるんじゃないのよーっ！！このこの！（びしびし）」
「あだだっ！こ、こら、月のハリセンはやめろ！」
「問答無用ーっ！」
「元に戻ったぞ…」
「ふっ、若いでござるなあ…それにしても、フルメタとリアルバウトでござるか…」
海底神殿（現代）
「…ごめん、すっかり忘れてたわキミの事」
「おのれぇ…このグラコス５世様を〜…だから人間って嫌いなんだ…」
「石版みっけ。」
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