第30話


マルチ「アルスさぁ〜ん! 買ってきました〜」
アルス「よしよし、偉いぞマルチ! ご褒美になでなでしてやろうぞよ。ささ、近うよれ?」
マルチ「………頭を、ですよねアルスさん?」
アルス「…最近、知恵つけてきやがったな、お前」
マルチ「それはもう! このマルチ、経験型としては高性能ですから! 使えば使う程良くなっていくんですっ!」
メルビ「スルメの様なからくりメイドでござるな」
アスカ「…それで、あんな反応するようになるって事は、アンタの与えた『経験』の質が知れるわね」
アルス「俺は、音速丸が結構好きだ! ニニンがシノブ伝、単行本でないかな〜」
マルチ「あ、そうでした。…はい、コレ買ってきた本です!」
アルス「おぅサンキュー!…それ、なでなでなでなで」
マルチ「にゅわわわわわ〜?! にゃ、にゃにするんですかぁぁ〜?!」
アスカ「……アルス、あんたね…」
アルス「ちなみに何処を撫でたかというと………顔だ」
アスカ「お尻とか撫でられるより、もっと嫌よ、ソレは…」
アルス「そうか。じゃあもっと撫でてあげ…(バチュュュュゥンッ!!)うぎゃーっ?!」

          衛星軌道上から、何者かの狙撃!!

アルス「………いるのか?! 見てるのかあいつが?!(きょろきょろ)」
ガボ 「…馬鹿は放って置いて、何買ってきたんだ?」
マルチ「少年ガンガンですぅ」
アスカ「…何で?」
アルス「今月号から、藤原カムイ先生の『エデンの戦士達』が連載開始したんだ」
メルビ「ほぉ、これがキーファ殿でござるか」
アルス「なんつっても、『ロト紋』の藤原先生だぜ!…はやくフォズ様出てこないかな〜」
アスカ「…そこが狙いか?…でも、ロト紋格好良かったしね〜! 期待大ね!」
アルス「なあガボ…」
ガボ 「なんだアルス?」
アルス「クロスレンジャーの翼ちゃんて、萌えだと思わんか?」
ガボ 「そんなネタ、オイラじゃなくてメルビンに振れよ!」
メルビ「うむ、これはかなりの萌えでござろう、アルス殿!」
アルス「だよなぁ…萌えだよなぁ…」
アスカ「…話が全然進まないわね。…(がこんっ)…石版よーーっし! さぁ、次なるステージへ行くわよマルチ!」
マルチ「はいな、姐さん!」
アルス「あ、こら、置いて行くな〜!(みょょょょょょん)」



アスカ「(みょょょょょん)…っと! 到着〜…って…」
マルチ「暗いですぅ…お日様がありませんよ、ここ…」
ガボ 「うへっ! ヤな臭いがビンビンしてるぞ?!」
メルビ「これは…この土地は、完全に封印されてしまっているでござるよ」
アルス「…遂に、魔王の結界内部に飛ばされるようになったか…しかし、嫌な感じだぜ…あの丘から見てみるか」
マルチ「枯れてますねぇ…」
ガボ 「っていうか、腐ってっぞコレ」
アスカ「かなりおっきな木かなんかがあったのね」
アルス「…見ろ、あの街と塔…凄い闇の濃さだ…こりゃあ骨が折れそうだぞ」


ルーメン
魔物 「キキー!(ばた)」
アスカ「…はん。ベビーゴイル程度で、この火拳のアスカ様の前に立てると思ったワケ?!」
アルス「街の入り口からしてこれか…というより、魔物の街だな、ここ」
メルビ「人間は、いることはいるようでござるが…もし、そこの御仁?」
街の人「驚いたね、人間の旅人なんて2度と来ないと思ってたけど…まあ、見ての通りルーメンはもう死んでいるさ…だけど、まだヘルパオムの時よりはマシかもな」
アスカ「ヘルパオム?」
街の人「そぅ。植物の化け物で、ルーメンはコイツに散々な目に遭わされたんだ。…やっと退治しても根っこがあるとすぐ復活しちまう。ヘルパオムに脅えなくてよくなったのは、魔物共が闇のドラゴンで太陽を隠したお陰ってんだから、終わってるよ、ルーメンは…へへへ」
アスカ「…災厄続きの上封印されて、すっかり弱っちゃってるわね、アルス。…アルス?」
アルス「なるほど、そのボルンガとか言うのが、シーブル氏の邸宅に…」
シスタ「…旅の方、魔物達を刺激してはいけません。お願いです、逃げて下さい…」
アルス「心配して下さってありがとうシスター…しかし、まだコレならば大丈夫です。ダーマよりましですから。…次に会うときは、お互い笑顔であえるでしょう…それでは」
アスカ「………あー、もぅ突っ込む気もしないわね…」
アルス「よし、みんな。ここルーメンは、あの塔にいる闇のドラゴンとやらが、太陽を覆い隠しているらしい」
ガボ 「砂漠のジャイアントロボと同じか」
アルス「ああ。で、この街を仕切ってるボルンガって奴がいるらしいな。で、コイツが塔の鍵を持っていると」
アスカ「要は、ボルンガとドラゴンをひねり潰せば、後は雑魚ばかり何でしょ?」
アルス「そういう事だ。行くぞ」

シーブル宅
ボルン「ふんふん〜(ざばー)…おら、女共、しっかり磨け!」
アスカ「……魔物が風呂入ってんじゃないわよ」
ボルン「何ぃ?!…ん? 見ない顔だが新入りか?…こんな生きのいい女がまだ残ってたとはな」
アルス「…見苦しいマッチョの入浴シーンを見せられて、俺のムカツキ度は120%にょ! 死なすにょ!」
ボルン「マジ? 俺を死なす?…報告のあったよそ者ってのはお前等か。封印されてるはずの街に平然と入ってきやがるとは…何者だお前等?」
アルス「見るからに中ボスっぽい奴なぞに、名乗る名は持たんな」
ボルン「…けっ、すっかり湯冷めしちまっただろーが…入り直す前にミンチにしてやらぁ!!」
アスカ「はん!…アタシが骨まで追い炊きして上げるわよ!! メラゾーマッ!」

              ボルンガを倒した!

ガボ 「おーい、鍵あったぞ〜」
アルス「実に中ボスらしい、天晴れな最後であったな」

闇のドラゴンの塔
ドラゴ「ぎゃおおおおおおおお!!」
メルビ「あの、ボルンガとやらの言う通り、制御者を失って、凶暴化してるでござるな!」
アルス「そうだな…フバーハッ」
ガボ 「ガルルーっ! くらえ、猛毒の霧ッ!」

      闇のドラゴンは猛毒におかされた!

ガボ 「おっほ?! 効いたぞアルス!」
メルビ「やるでござるなガボ殿! つりゃあーっ! 英雄の剣を受けよ!(ずばぁっ!)」

     メルビンの攻撃! 闇のドラゴンに33のダメージ!
     闇のドラゴンは猛毒におかされている! 猛毒で225のダメージ!


メルビ「…拙者って…」

     闇のドラゴンは猛毒におかされている! 猛毒で225のダメージ!

アルス「……AI戦闘もココまでか…アスカッ! 俺にバイキルトをかけろっ!」
アスカ「頼んだわよ! バイキルトッ!」
アルス「ぬおおおおっ! 気合い気合い気合いぃぃ!!」

     アスカはバイキルトを唱えた! アルスは大きく息を吸い込んだ!
     闇のドラゴンは猛毒におかされている! 猛毒で225のダメージ!

アルス「遂に、この技の本来の持ち味を生かすときが来たか…行くぞ、真! 昇ォー竜ゥー剣ッ!!(ガオォォン!)」

     アルスはドラゴン斬りを放った! 闇のドラゴンに326のダメージ!
     闇のドラゴンは猛毒におかされている! 猛毒で225のダメージ!
     闇のドラゴンは力つきた!!(ちゃらり〜)


アルス「……えー、今回のMVPは〜、『猛毒くん』に決定しました…」
ガボ 「ダメージの8割は、猛毒だったな…」
メルビ「拙者って…拙者って…」


ルーメン
街の人「おおお! 太陽だぁぁ! 日の光が帰ってきたぁぁ!」
街の娘「魔物が逃げて行くわ〜!」
アスカ「…封印解除成功、ね」
ガボ 「へへへ、やっぱ喜んでもらえっと嬉しいよな」
シーブ「貴方達! やってくれましたな!」
アスカ「今まで出番無かったけどシーブルさん! 魔物も全て駆逐さ…」
ロッキ「ごろごろごろ…」
みんな「「「ば、ばくだん岩ーーーっ?!」」」
シーブ「いや、驚かせてしまいましたな。実はこの爆弾岩、儂に懐いてしまいましてな。ロッキーと名付けて、一緒に暮らす事にしたのです。何、慣れれば可愛いものですよ」
ロッキ「ごろごろ…」
アスカ「……か、可愛いって…言ってもねぇアルス?…アルスー?」
マルチ「アルスさんならあそこですよ」

    さわやかな風が吹き抜ける、教会の裏に作られた小さな墓地…
    祈りを捧げるシスターと、その傍らに佇む青年の姿は、一枚の絵のごとく…


シスタ「…これで、亡くなった人達も、安心して眠れるでしょう…有り難うございます…私、もう神様は私達をお見捨てになられたのだと思っていました…でも神様は、アルスさん達という光を照らし、試練に苦しむ私達を導いてくれたのですね」
アルス「私は、人々の笑顔が好きです…どんな辛いときでも、笑うことさえ出来るのなら、心の中の光を失わずにすむ…前に進んでいけると信じています…だから…貴方にも笑顔を見せて欲しかったんです」
シスタ「幸せに笑える時間の大切さを、私は今回のことで学べたと…そう思います…アルスさん、私、今、笑えていますか?」
アルス「…ええ。ここに眠る人達も、今はきっと笑顔でいてくれると思いますよ…(さりげなく抱き寄せる)」
シスタ「アルスさん…(見つめる)」
アルス「シスタぁ…あぁ、あひゃひゃひゃひゃ!?」
アスカ「…はーい、笑って笑ってー(怒)」
アルス「あひゃ…アスかーっはははは!ひゃ、ひゃめれ〜!」
アスカ「はいはいはい、笑顔笑顔〜」

     アスカはくすぐりの刑をおこなった!

アルス「ああアスカさん、笑顔から黒い光がーっはははやめやめーっ!」
アスカ「はーい、笑顔で幸せ幸せ〜(怒笑)」
アルス「うにゃはひゃは、クセになるぅうははは、マジやめぇ〜!」
マルチ「ああっ、待って下さぁぁい!」
ガボ 「懲りねぇなあ、アイツら…」
メルビ「はっはっは!…それではお嬢さん、我々は行くでござる。縁があったらまた来るでござる! しからば御免!」
シスタ「あ、は、はい!…道中のご無事をお祈りしています! 近くに来られたら、是非よっていって下さいね!」



シスタ「……残念。」


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