第３１話

アルス	「（ひゅおおおおお…）あれー……？」
アスカ	「…滅びてるわねぇ…ルーメン…」
メルビ	「そういえば、ゴールデンバウム王朝がどうとか言う情報を聞いたでござるな」
アスカ	「ヘルバオムでしょ…」
アルス	「…何にせよ戻ってみないことには判らんな」

ルーメン

　　　　　街は、地面から生えてくる無数のツタのような物に襲われていた！

街の人	「うぎゃーっ！（ずりゅぅっ！）」
街の人	「たっ…助け…（ぎゅりゅうぅ！）」
アスカ	「なっ…何よこれ？！　このウネウネは一体？！（びゅるん！）うわっ、こっち来た！！」

　　　　ヘルバオムの根っこが現れた！

ガボ	「ガルルーっ！」
メルビ	「なんとっ…て、手強いでござるよコイツは！！」
アスカ	「くぉのっ！　メラゾーマァッ！！（ボグァァン！）…どっせぃ！」
街の人	「は、離せ…うわぁぁ！（どちゅる！）」
アルス	「まずいぞ！　街の人達を逃がさないと…むっ？！」
シスタ	「きゃあああっ！　い、いやぁーっ！　来ないで…っ！」
アルス	「うぉぅ！　シスター悶絶触手地獄…などとボケてる時ではない！　せいやっ！　剣の舞ぃぃ！」
シスタ	「はぁっ…はぁっ…あ、アルスさん？！…う、うわあああん！」
アルス	「シスター！　一体コレは何事です？！」
シスタ	「…へ、ヘルバオムです！　太陽の光が戻ったら、ヘルバオムが復活して…ああ、完全に駆除したと思っていたのに！」
シーブ	「むひょおおお？！（バリーン！）」
アスカ	「あっ！　シーブルさん？！…アルス！」
アルス	「ちいっ、シスター、速く逃げて下さい！」
シスタ	「に、逃げるって言っても、根っこだらけで…そ、それに腰が抜けて…」
アルス	「ああもう！」

　　　　　アルスはシスターを背負って、シーブル邸に突入した！

シーブ	「この、この！　くそっ、完全に焼き払ったつもりじゃったが、まだ本体が残っておったのか！」
ロッキ	「（ごろごろごろ！）」
ガボ	「シーブルのオッチャン！」
シーブ	「おお、お主達は…（ばしゃああああっ！）ひょおおお？！」

　　　　　無数の根っこが屋敷の中に雪崩れ込んできた！

メルビ	「アルス殿！　これはかなりマズイでござるぞ…」
アルス	「…次から次へと…くっ…どう突破する？！」
ロッキ	「（ごろごろごろ）」
シーブ	「あ、おい、ロッキー！何をするつもりじゃ？！」

　　　　　ばくだん岩は、根っこ共の真ん中まで行くと、こちらをちらりと振り返り
　　　　　ニヤッっと笑うと…

ロッキ	「………メガンテ（ばどおぉぉぉぉぉぉんっ！！）」
シーブ	「ロッ…ロッキィィィィィッ！！」
アスカ	「あ、あいつ…」
アルス	「…突破口が開けた！　奴が作ってくれた道を無にするな！」

　　　　　アルス達は、街の人を助けながら、街外れまで移動した

シーブ	「おぅ、ロッキー…最近、やっとお前と心が通じ合ってきたばかりだというのに…」
アスカ	「ばくだん岩にも、主人思いの奴っていたのね…」
メルビ	「…しかしこれでは…いくら根っこを斬っても埒があかんでござる…」
アルス	「くそっ…本体を探し出して潰さなくては…だが何処にいやがる」
シーブ	「…ヘルバオムは、以前、ルーメンの丘の上に現れて、街を襲ったのです。その時は街人総出で、ヘルバオムを焼き払いましたが、何度も復活され…そんな時に魔物が現れ世界を闇に閉ざしました。太陽の光が届かなくなって、我々をあれほど苦しめたヘルバオムは、すっかり枯れてしまったのです。それで安心していたのですが…奴め滅んではいなかったのです！　奴を完全に滅ぼすには、地下にある根っこの中枢から駆除しないことには、どうにもならん…」
アスカ	「地下っていっても…根っこの出てきた穴に入り込んだら、身動き取れないウチにやられちゃうわよ？」
シスタ	「あの…以前子供達が、そこの枯れ井戸の底が洞窟に繋がっているのを見つけたんです…危ないからと入り口を閉じていましたが、もしかしたらそこからヘルバオムの本体を探せるかも…」
アルス	「…それにかけるしかあるまい。よし、時間が惜しい、行くぞ！」
シスタ	「…お気をつけて！…ああ、神よアルスさん達にご加護を！」

　　　　　アルス達は井戸から地下洞窟に入り込み、根っこを追跡して本体を発見した！

ガボ	「げっ…毒々しい色とにおいだな？！」
アスカ	「うげっ…こうなるともう植物ともいえないわね…口に歯に舌まであるわよ！」
アルス	「…根っこから街人を救うので、かなり消耗してしまったのが辛いな…」
アスカ	「はん！　どんな気色悪いナリでも、植物なんでしょ！行くわよ、メラゾー…」
ヘルバ	『マホトォォォン…』
メルビ	「な、なんとっ？！」

　　　　　　パーティは魔法を封じられた！

アスカ	「あ、あ、そんなっ！」
アルス	「コイツ…植物の分際で魔封じとは…っ！　ガボ！　叩きつぶすぞ！」
ガボ	「おうっ！　オイラの炎の爪を見せてやるっ！　受けて見ろ、正拳…」
ヘルバ	『カアッ！！』

　　　　　　ヘルバオムはまばゆい光を放った！
　　　　　　パーティは目が眩んだ！

ガボ	「うひゃあ！　目が痛ェ！」
アルス	「はああ、目が、目がぁぁぁ〜」
アスカ	「ラピュタごっこしてる場合じゃないわよ！（びしっ）あいたっ！…あ、やだっ！何処触ってんのよ、この根っこ！！」
アルス	「何？！　お、おのれ、肝心な時に目が見えんとわ〜！」
ヘルバ	『ぼぼぇ〜…』

　　　　　　ヘルバオムは猛毒の霧を吐き出した！
　　　　　　アスカは猛毒におかされた！

アスカ	「うっ…」
メルビ	「アスカ殿？！…ええいこやつ、植物の分際で次から次へと！」
アルス	「おい、しっかりしろアスカ！…く、呪文もアイテムも無いと来れば仕方ない！　踊って毒にうち勝つしかない！　アスカ踊れ！　それしか無いぞ！」
アスカ	「うっ…く…無茶言ってくれるわね…ぐっ、げほっ！…ええーぃ！　負けてらんないのよぉぉぉッ！　草ポケモンなんかにぃぃぃッ！！　そーれ、ハッスルハッス…」
ヘルバ	『もわぁぁぁ〜…』

　　　　　　ヘルバオムは甘いにおいの息を吐いた！
　　　　　　パーティは眠ってしまった！

マルチ	「は、はわわわ〜！　皆さんしっかりして下さい〜！　あううぅ〜大ピンチですぅぅ！！」

　　　　　　メルビンは目を覚ました！

マルチ	「はうぅ〜！　さすが、お年寄りは朝が早いですぅ〜！」
メルビ	「うぐっ…はっ！？　拙者のみでござるか！…なれば、英雄の［みねうち］で、アルス殿だけでも起きて貰わねば、回復も出来んでござる！…とおお…」
ヘルバ	『もへぇぇぇぇ〜…』

　　　　　　ヘルバオムは甘いにおいの息を吐いた！
　　　　　　メルビンは眠ってしまった！

マルチ	「あうぅぅぅ〜！　お年寄りは夜も早かったですぅ〜！」
アルス	「…ううっ…くそっ！　この、パーミッション野郎がっ！…大マジの大ピンチだ…起きるまで踊ってるしかねぇ！　そーれハッスルハッスル！　ハッスルハッスル！」
ガボ	「ううう…」
アスカ	「くぅ、げほっげほっ！」
アルス	「起きたか！…おっ？！」

　　　　　　マホトーンの効果が切れた！

アスカ	「………反撃かぁぁいしぃぃぃぃっ！　バイキルバイキルメラゾォマァァッ！」
アルス	「呪文さえ使えれば、草など！　剣の舞ぃぃ！」
ガボ	「せいけん突きぃぃ！」
メルビ	「ぐぅぐぅ…」
アルス	「こらぁ！　メルビン起きろーーっ！！」
ヘルバ	『マホトォォォン…』
アスカ	「…っ！何度も効いてたまるもんですか！　これで打ち止め！　メラミィィ！」
ガボ	「ウオォォォンッ！！（どごっ）」
ヘルバ	『…ビギ…シ…ギ……（へちゃっ）』

　　　　　　ヘルバオムを倒した！

アスカ	「…はぁっ！…はぁっ！…や、やった…わよ、ね？」
ガボ	「うひぃぃ〜！　オ、オイラ、もう動けねぇ〜！！」
メルビ	「植物なのに、なんと危険な奴でござったか！」
アルス	「…マ、マルチ…ソイツの死骸に油かけて燃しちまってくれ…二度と復活されてたまるか…」
マルチ	「ははっ！　後片付けは、このマルチにお任せを！」
アルス	「…よし、行くか。立てるかみんな？」
ガボ	「ああ、でも、オイラ腹が減って腹が減って…」
アスカ	「よっ…と…（がくん）あうっ？！…うう、足に力が…」
アルス	「アスカ（ひょいっと背負う）」
アスカ	「わ、わっ！　い、いいわよアルス！　こんな…」
アルス	「いいからいいから。……しかし、まいったな」
メルビ	「消耗していたとはいえ、予想外の大苦戦でござったな」
アルス	「…ああ。呪文を…というより、アスカを封じられただけで戦力半減だった。どうにもアスカに負担がかかりすぎていたみたいだな…これからはもっとアスカの負担を軽くして、役割を分散しないと…」
アスカ	「アルス…ふ、ふふん！　ようやくこのアスカ様のありがたみって物が、身に滲みたみたいね！」
アルス	「いや、まったくだ。すまなかったな、アスカ…」
アスカ	「な、何よ素直に…ま、アンタは私が見てないと、何しでかすか判ったもんじゃないからね、最後までつきあってあげるわよ！　せいぜい感謝しまくるのね！」
アルス	「ふふ…へいへい」
アスカ	「むっ！　なによその子供に対するような笑いは！　このこの！」
アルス	「ぐおっ？！　背中で暴れるな！　色々気持ちいいじゃないか！」
アスカ	「バカーッ！　下ろせ下ろせーっ！」
アルス	「わっはっはっは！　いやなこった、最後までつきあって貰うぜぇ〜！」

ルーメンの街

シスタ	「……！！…あ、アルスさん！！　ご無事で！」
アルス	「ははは、シスター、なんとか片づけてきましたよ」
シスタ	「アルスさん…本当によかった…（潤んだ瞳）」
アルス	「シスター…（点描ばらまきながら、抱き寄せる）」
シスタ	「アルスさん…（目を閉じる）」
アルス	「シスタ…（ガツン！）………痛いじゃないですか、アスカさん」
アスカ	「あーら、ごめんあっさぁーせ！（ふんっ）」
シーブ	「…おお、皆さん、ここにいらっしゃいましたか！！」
メルビ	「おお、シーブル殿！」
シーブ	「一度ならず二度までも街を救っていただき、街の者も感謝しきりです…散っていったロッキーも、浮かばれると言う物です」
ガボ	「あの、ばくだん岩には、助けられちまったもんな…」
シーブ	「それで、この子を見て下さい！　飛び散ったヘルバオムの根っこにしがみついて泣いていたのを見つけたのですが…私には、ロッキーの生まれ変わりに見えて仕方がないんです…」
アスカ	「うげっ…それって…」
アルス	「見まごうことなく［蟲］ですねぇ…」
シーブ	「はは、可愛いでしょう？…こいつには、チビィという名を付けて育てることにしたんです！」
アスカ	「……………可愛い？」
メルビ	「ま、まあ、美醜の基準は人それぞれでござるが…」
アルス	「…そうか、シートン＋ファーブルで、シーブルさんだったのか！」
アスカ	「ムトゥゴロォさんみたいよねぇ…」
ガボ	「頭囓られなきゃいいけどな」
アスカ	「さて、今度こそ、ルーメンも大丈夫でしょ！…戻りますかね！」
アルス	「あ、俺はちょっと用があるから…（がしっ）…いや、アスカさん、俺は…」
アスカ	「いーからいーから！…それでは、ごきげんよう皆さん！　シスターも元気でね〜（にぃっこり）」
シスタ	「え？！　あ、はい、皆さんもお気をつけて！」
シーブ	「皆さーん！　また今度、立派に育ったチビィにも会いに来て下さいね〜！」

シスタ

「…………ぶー」