第３２話

アルス「（ひゅおおおおお…）あれー……？」
アスカ「…滅びてるわねぇ…ルーメン…」
アルス「何か私共に至らない点がありましたか？！どーですかお客さん？！」
アスカ「まぁ、２ヶ月も更新してなかったし…」
アルス「…それは言っちゃイケナイよ、おねーさん！」
メルビ「とにもかくにも、今一度ルーメンに戻らねばならんでござるな」


ルーメン
メルビ「別に、変わったところは見られないでござるが…」
ガボ　「でも、なんか、やな感じがしてるぞ」
村人　「おお！あんた達は！よく来てくれた、あんた達からもシーブルさんに言ってやって下さいよ！」
アスカ「どうしたの？」
村人　「シーブルさんが、ばくだん岩の代わりに飼ってる蟲、ありゃモンスターだよ！危険だから始末してくれって頼んでるんだけど、ちっとも聞いてくれなくて…」
アルス「……それか？…よし、行くか」


シーブル邸


シーブ「おお、アルスさん達！見て下され、チビィもこんな立派に育ちましたぞ！もー、可愛くて可愛くて！」
チビィ「しゃー、きーきー」
ガボ　「うげぇ…」
マルチ「はううぅ…太くておっきぃですぅ…」
アスカ「…か、可愛いんだ、アレ…」
メルビ「これは、街の人が脅えるのも無理ないでござるな…」
アルス「なあ、シーブルさん…」
シーブ「……わかっとりますよ、アルスさん。まず間違いなくチビィはモンスターです。街の人が怖がって、捨ててくれと言うのも無理はありません。…ですが、チビィは絶対に悪いモンスターじゃありません！…それに私にとってはもう、実の子供も同然なんです！」
メルビ「シーブル殿は、悪い人じゃないでござるが…」
アルス「魔物使いの才能が有るんだろうな。…ばくだん岩ってのはそう簡単に人に慣れたりする奴じゃないし」
シスタ「ああっ？！ア、アルスさんっ大変です！」
アルス「おぅ、シスター、どうしました？」
シスタ「街の人達が、遂に業を煮やしてシーブルさんの所に…最悪、自分たちであの蟲を始末するって相談をしてたんです…」
アスカ「やっぱ、あの蟲が原因なのかしらね」
アルス「仕方ないなあ、行くか」

シーブ「やはり、こうなりましたか…ルーメンは魔物に苦しめられ続けた街ですからな、イイ魔物がいると言っても、とても信じられんでしょう…皆さん、私はチビィをこっそりあの丘に放して来ようと思います。とても殺すなどとは…」
アルス「ま、そうするしかないだろうな…」


丘の上
シーブ「…チビィや、お前の好物の葉っぱはココに入れてあるからな…元気で暮らすんだぞ…」
チビィ「きー…きー…」
シーブ「わかっとくれ、お前と一緒にいると、お前は殺されてしまうのじゃ…ここで仲間を見つけて暮らすんだ」
チビィ「きぃ〜っ！」
シーブ「ついて来ちゃイカン！行くんだチビィ！」
チビィ「きー………」
シーブ「…チビィ…うっ、ううっ…」
アスカ「…蟲じゃなきゃイイシーンなんだけどね」
アルス「蟲じゃなきゃなぁ…」
メルビ「シーブル殿…」
シーブ「…戻りましょう、皆さん…」
アルス「ああ…ま、気を落とすなってのは無理だろうが…次にはもっと普通のを飼うんだな…メイドさんとか」
マルチ「……メイドさんは飼うものじゃありませんよぅ…」
シーブ「ふふ、そうですな。猫メイドさんとかと暮らすのも悪くないかもしれませんな」
アルス「いや、だからお前は少し動物からはなれろ！」
メルビ「ほう？アルス殿なら猫メイドは萌えかと思ったでござるが？」
アルス「考えろメルビン！シーブル君の事だ、比率はきっと、猫が９割メイドが１だぞ！流石の俺も生動物には萌えられん」
アスカ「な、なまどーぶつって…」
シーブ「うふふふ、うっとり」
ガボ　「…おっちゃん、向こう側にイッちまったぞ…」
アルス「うぬぅ、仕方ない、屋敷に放りこんどくか」


シーブル邸
シーブ「いやはや、もう大丈夫ですよ皆さん」
アスカ「…それならいいけど…」
シーブ「もう、だいぶ夜も更けました。今夜はここで…（ごとん）…おや？」
？？？「（がりがり）…きーきーきー！」
シーブ「なんと？！戻ってきてしまったのかチビィ？！（ガチャッ！）」
ヘルワ「シャゲェーーーッ！！」
シーブ「うわあっ！」
メルビ「シーブル殿？！なんと、何をするでござるチビィ！」
シーブ「違う！同じ種類の魔物だが、チビィではな…うわわわわ！」
アルス「おっさん下がれ！…チッ、こいつ等が原因の様だな！やるぞみんな！」
マルチ「それは、ヘルワームってモンスターらしいですぅ！」
ヘルワ「シャーッ！キョキョー！」
アスカ「うきゃーっ！やだこっち来るな（ごずっ）わーいやー！気色ぃぃ！（ぼり）あ痛だだだだーっ！」
ガボ　「げっ、雑魚っぽいくせに痛ぇ攻撃だぞ？！」
メルビ「ベホイミっ！（ぷぅぅぅぅ）わっぷ！糸を吐いたでござる！ぬあー、粘るでござる〜」
アルス「でぇぇりゃぁっ！！（ズガン！）ふぅ…俺、実は蟲って苦手なんだよ…うう気色悪ぃ…」
マルチ「みなさぁぁん！いっぱい出ましたぁぁ〜！」

　　　　　　　　　　　　　ルーメンに蟲が溢れ返っていた！！

主人　「ひぃぃぃ！来るなぁ〜」
おばさ「このこのこの！ゴキブリよりたちの悪い！まったくシーブルさんのせいだよ！」
アルス「ずらぁぁっ！（ずばしゅっ！）おぅ、無事か？！」
主人　「た、助かった…」
おばさ「あんた達には、毎度毎度助けられるね！感謝するよ！」
主人　「もー、あんた達なら、いつでも宿代タダにするよ〜」
アスカ「よっしゃ！その台詞忘れんじゃないわよ！」
シスタ「きゃああああ〜！い、いやあああ〜（ねばねば）」
ガボ　「おほっ？！また、あのシスターだ」
アルス「うぉぅ！シスター悶絶妖蟲生贄変！？…とボケてる場合じゃないな！おらあっ！（ぶぢゅっ！）」
シスタ「うわぁぁぁん！アルスさぁぁぁん！！」
アルス「よしよし…もう大丈夫だからって…ねばねばするなあ…」
シスタ「あぁぁん、髪の毛がぁぁ〜」
アスカ「アンタ、髪の毛と自分の命、どっちが大切なのよ！」
シスタ「両方！（即答）」
アスカ「う…図太いわね…」
ガボ　「アスカに言われちゃおしまいだな…」
メルビ「マクロスごっこしてる場合じゃないでござるよ！シーブル邸に蟲がたかってるでござる！」
アルス「ええぇぇい、またかぁ！」


シーブル邸
アスカ「困ったわね…」
アルス「困ったな…」
ガボ　「困ったぞ…」
メルビ「困ったでござるな…」
マルチ「むっしむしむしむしむし〜ムシムシ大行進っ…」
シーブ「わー…とか言ってるしか有りませんなぁ、これは…」

　　　シーブル邸を取り囲んで、何百何千というヘルワームがひしめいていた！

ヘルワ「きー！（ずいっ）」
全員　「ううっ…（ずさっ）」
ヘルワ「ききー！（ずずいっ！）」
全員　「うううっ…（ずざざっ！）」
アスカ「…ねえアルス。」
アルス「なんだアスカ。」
アスカ「私、蟲に体中を生きながらにして食われて死ぬなんて最後は御免だわ…」
アルス「アスカ、量産型ＥＶＡに食われて死んだしなぁ…」
アスカ「………ヤなこと言うわね、アンタ」
アルス「はっはっは…流石の俺にもこの状況は…そうだアスカ！」
アスカ「何よ？」
アルス「あの蟲の上に、青き衣をまといて降り立ってみたら静まるかも！」
アスカ「…だめだ、腐ってやがる！」
アルス「ふっ、ナウシカネタにきっちり返してくるなら、まだ大丈夫だな！さぁーて、どうするかな…んん？」
ヘルワ「きーきーききー？！」
シーブ「おお、あ、アレは…！！」
チビィ「（ちゃかちゃかちゃーらちゃらっちゃちゃらっちゃちゃらー！（←ヒーローぽい音））ききーっ！（くるくるくる…しゅたっ！）きー！（キラーン！）」
全員　「「チビィ！！」」
チビィ「きー！（にやっ）」
シーブ「くうぅぅぅぅぅ！カッコイイ！カッコイイぞチビィィィ！！」
アルス「蟲がッ！蟲が正義のヒーローっぽく！」
アスカ「しかも、赤いからさらに正義っぽい！」
シーブ「チビィ…助けに来てくれたのか…」
チビィ「きー。（フッ…くるりっ）…きぃぃぃ…ッ！！」

　　　　チビィはちらりと振り返った後、猛然とヘルワームの群に突撃した！
　　　　見る間にヘルワームをうち倒していき、恐れをなしたヘルワームは
　　　　　　　　　　　　　散々になって逃げていった！！


メルビ「蟲に、蟲に美味しいトコさらわれたでござる！！」
チビィ「…きぃ…（ばたっ）」
シーブ「おお、チビィ？！…お前、命がけで私達を…うう、ロッキーといいお前といい、私は守って貰うばかりで、お前達を…ッ！！」
チビィ「きー…（マルチ訳：フッ…気にするなよボーイ、俺がちょっとお節介だっただけさ…ふふ、見ろよあの星空を…でっけーよなぁ…俺の夢はよ、いつかビッグになって、あの空のスターをつかんでやる事だったんだ…だが、まあイイぜ…ちぃとばかし疲れた…少し…ほんの少し…休ませてもら…う…ぜ…（がく））」
シーブ「チ…チビィィィィィィィィッッ！！（遺体を抱きしめ、星空でニヒルに微笑むチビィに向かい号泣）」
アスカ「……蟲じゃなきゃイイシーンなんだけどねぇ…」
アルス「…蟲じゃなきゃなぁぁ…」

　　　　　　アスカ達は、村人達と協力してチビィの墓を作った…


村人　「魔物だからと厭うて殺そうとした我々のために、命を懸けるなんて…」
老人　「儂らは何と恥ずかしい奴ら何じゃ…すまんかったのぅ、チビィ…」
おばさ「チビィにも、シーブルさんにも、悪いことをしたね…」
シーブ「いえ…そう言って貰って、チビィもきっと喜んどるでしょう…」
ガボ　「蟲だったけど、イイ奴だったな」
メルビ「天晴れな仁義でござったな…蟲でござるが」
アスカ「蟲だったけどねぇアルス？………アルス？あれ？アルスは？？」
マルチ「アルスさんなら、だいぶ前に、チビィさんの霊を弔うために教会にお祈りに行くって出てきましたよ」
アスカ「ふーん……ん？……は？！シスター！！…アールースぅぅ懲りない奴めぇぇぇ！！（どどどど）」
マルチ「わっ？！ど、どうしたんですかアスカさぁぁん！」
アスカ「（ばたーん）アールースーく〜ん…」
シスタ「あら？いらっしゃいませアスカさん、お祈りですか？（つやつや）」
アスカ「う゛っ…満ち足りた表情…っ！？」
シスタ「うふ…うふふふふっ（ふわふわ）」
アスカ「…ほんとぉぉに、懲りない奴めぇぇ…見つけたらおしおき百連発にしてやるんだから…ッ！（ゴゴゴゴ）」
マルチ「（はっ、はうぅぅ…怖いですぅぅ！！）」
シスタ「うふふふふぅ☆…ぶいっ！」


現代のルーメン
アルス「みょー、ひゃんほひゃひひゃひゃるほーはみゃ…」
セリオ「――顔が変形してるんだから、喋らない方がいいですよ…それにしても凄いですね」
マルチ「アスカさんは『ルービックキューブ張り手』だって言ってましたぁ…」
セリオ「――まぁ、因果応報というものでしょう…ダウンロード完了。…ベホマ。」
アルス「うー」
ガボ　「おーい、行くぞアルス〜」


娘　　「…ようこそルーメンへ！ここは、勇者チビィの伝説が残る街ですわ！」
老人　「…というわけで、３度も街を救った英雄のチビィは、魔物の大軍団をうち破った後、息を引き取ったのじゃ」
町人　「あんたら、勇者チビィの従者の４人に格好似ているな？もしかしてファンかい？」
ガボ　「チビィはビジュアル系の若き勇者じゃなくて、蟲だぞ…」
メルビ「…とほほほ、拙者ら、蟲の従者でござるか…最後に街を救ったのはチビィでござるが、最初の２つは拙者らでござるよ…」
アスカ「シーブルのおっさん、チビィの事ばかり記録に残しやがったのね…［我が息子のように思っていた］とか…もう、アッタマくるわねアルス！…アルス？」
アルス「…娘さん、勇者チビィの残り二つの伝説を詳しく知りたくはありませんか？」
娘　　「え？貴方知っているんですか？！すっごーい！」
アルス「ははは、こう見えても僕は研究家でしてね。どうです、そこの宿屋でじっくり…」
アスカ「…きさんには、プライドっちゅうモンがないんかぁぁぁぁぁぁいっ！！（ずどばむごしゃあああッ！！）」
アルス「ぐはぁぁぁっ？！」
マルチ「…アルスさんて…」
セリオ「――あえて言うならバカですね。それよりマルチさん…あの、私に伝説の案内を、その、してくれませんか？（もじもじ）」
マルチ「はいっ、喜んで！お姉さんに、どーんと任せて下さいですぅ！」
セリオ「――〜〜〜〜ッ！！（しっ、至福ぅぅぅぅぅぅぅっ！！（ぐっ！））」
ガボ　「…こっちもバカだなぁ…」


まえもどるつぎ