第３５話

街人　「ラ〜、文化の香り高き、音楽の都マ〜ディラスへよぉこそ〜♪」
メルビ「おおー、これがあのマーディラスでござるか？！…昔とはかなり変わったでござるなぁ…」
ガボ　「音楽は気持ちいいけど、ハラふくれねぇぞ」
マルチ「はあ〜…昔の魔法でギスギスしてたときとは大違いですねぇ…」
メルビ「当時は戦争中だったでござるから無理もないでござるよ」
マルチ「みんな歌ってますぅ。なんか、このマルチも歌いたくなってきましたぁ　おっいらにおっまかっせまるちっぽ♪しっぽじゃあないよちっぽっぽ♪」
アルス「まるまるぽっちは男の誇りっ♪」
二人　「うに〜　うに〜く　ごっごごー♪」
マルチ「うに〜　うに〜く　ごっごごー♪」
ガボ　「もう食べれないよ」
アルス「……だれか、ここらでツッコミ入れてくれよぅ…」
メルビ「？…何故でござるか？」
アルス「…いや、いいんだ…」
マルチ「それにしても、花の都って感じですねぇ」
アルス「……ウチのパーティには、華がねぇなあ…」
マルチ「はうっ！や、やっぱり、このマルチではダメですかぁ〜？！」
アルス「お前、ふくろだし、ロボだし色気ゼロだし、まあ、可愛いとは思うが華じゃねぇなあ…」
マルチ「はうう〜」
メルビ「アルス殿は、炉ではあっても、マルチストではないのでござるか」
ガボ　「なんか、アルスの奴、アスカと別れてから元気ねーな？」
ヨハン「ハハハ、ハニーたち、グレイトだぜイズゴールド！（ぴーん）」
ギャル「きゃー！ヨハーン！なんか歌ってー！」
アルス「……ちぇー、なんかあっちは華があっていいなぁ」
ヨハン「オーケェハニー達！…んっんー…そうだなぁ…ああ〜マァ〜ディラス〜　歌を口ずさみ〜　花ぁの都ぉに〜　咲く雄姿〜♪イズゴールド！（ぴーん）」
マルチ「わー、歌うまいんですねぇ、あの人」
アルス「…夢と亀棒とＡＳＳと性技を讃える〜」
マルチ「あ、あの歌の続きってそんなのだったんですかぁ」
ガボ　「オイラ、難しい字はわかんねぇよ」
アルス「だぁーーっ！ここはツッコミ入れる所！！『なに下品な歌歌ってんのよー！』とかってビシーっと！！」
マルチ「はあ、下品だったんですか？」
ガボ　「オイラわかんねぇってばよ」
アルス「イライライライラ…ううう…アスカがいなくなってしまったら、パーティにボケしか残らなくなってしまった…ううう、ツッコミプリーズミ〜！」
メルビ「情けないでござるぞアルス殿！アスカ殿がパーティに戻ってくる日まで、更に男をあげておかねばさまにならんでござる！…それ、この国の王にご挨拶に行くでござる！」
ファン「んっ？旅の人達、グレーテ様に愛に…あいや、会いに行きなさるのかい？」
マルチ「グレーテ様？」
ファン「なんだ知らないのかい？あんたらしょーがねぇなあ…グレーテ姫様はこのマーディラスを音楽の都にしたそりゃあもう美人で可愛くて有能で才気に溢れてちょっとおちゃめでキュートな我らのプリンセスさぁー！」
アルス「…ほう？」
ファン「どうだい、あんたらもグレーテ様ファンクラブに入らないかーい？」
アルス「とにかく本物に会ってこようぞ！いざ行かーん、マ〜ディラス城へ〜」


マーディラス城・謁見の間
老臣１「あーと、これとそれは姫様の承認を頂いて、こっちは姫様に採決してもらって、こっちの山は全部姫様のご判断を仰いで、そこからこれは姫様のご指示を…」
老臣２「姫様ー！ここの決算が焦げ付いて…」
グレー「バカ者！そのセクションは封鎖せいと申し渡したであろうがっ！」
老臣２「し、しかしそうすると…」
グレー「ええい、その様な官僚体質だから焦げ付くのじゃ！抜本的構造改革と金融再生を断行せずして国が建ち行くと思うてかっ！そのセクションは全面封鎖、浮いた人材は使える者はあちらとそことここのセクションへ移動し、ダメなれば暇を出せ。かといって天下りはさせるでないぞ、厳命じゃ！」
老臣３「姫様ー！フォロッドやグランエスタードに対する対外政策は…」
アルス「……うわぁお、クニミツの政？」
メルビ「まだ年若くお美しいのに、凄いやり手の姫君でござるなぁ…だが、孤軍奮闘の趣でござるな…」
アルス「まるでウォルグリーク王のようだなぁ…」
大臣　「…ん？謁見希望の者であるか？」
アルス「ええ、まあ…」
大臣　「うむ、よかろう。…しかし、見ての通り姫様は多忙だ、手短にな」
アルス「にしても、国の政策を、謁見の間でガンガン進めていいのか…？」
大臣　「仕方がないのだ。姫様は多忙故、謁見の間に移動する時間も惜しいのでな。まあ、それほど国のために粉骨砕身しているというパフォーマンス効果もある、と我は考えるが」
メルビ「なにやら、姫君一人頑張って、周りの人々は役に立っておらぬ様に見受けられるでござるが…」
大臣　「仕方がないのだ。我が国は芸術を基盤に置く国、集まってくるのは芸術家肌のものばかり、現実的な職務能力となるとこれが…お陰で、政治の中枢は無能な老人共が蔓延る始末…姫様は我々の希望の星なのだ」
アルス「……そういうアンタはどうなんだよ？姫様のサポート出来てんのか？」
大臣　「無論の事。この筆頭大臣ゲッペルスポークスマン、姫様のイメージアップに全精力を注ぎ込んでおる！…姫様を世界の頂点へとプロデュースするのが我が望み！それこそが我が芸術なのだ！」
メルビ「宣伝大臣だったでござるか…」
アルス「オーベルシュタイン〜…」
マルチ「宣伝大臣って何ですか？」
アルス「ん？…まあ、小室とかつんく♂みたいな奴のことだ」
メルビ「ゲ、ゲッペルスと小室を一括りにするのでござるか？！」
大臣　「さあ、旅の者、存分に姫様に謁見するがよい！５分間！」
アルス「短いなオイ…まあいい。……お初にお目にかかります、グレーテ姫様」
グレー「じゃからそれは…ん？あ、おお、旅の者か。このまーでぃらすはたびのものにもひろくもんとをひらいておるじぶんのくにとおもうてゆるりとたいざいしていくがよいぞ。……はぁ」
アルス「うーは、めっちゃやる気無し！」
大臣　「姫様！なりませんぞ、諸国を巡る旅人は、重要な噂の発生源。これに悪印象を与えては世論に響きますぞ（ぼそぼそ）」
グレー「わかっておる、わかっておるわ…ふぅ…すまなんだな旅の者、少しばかり疲れ………れ…（じーっ）」
アルス「………？（汗）」
グレー「そなた…名は何と申す？」
アルス「は、はぁ…アルス、でございます姫様」
グレー「アルスか…アルス、アルス…うむ！そなた、わらわと同じくらいの歳じゃな！（がたん！ずいずいずい！）」
アルス「う、うおっ？！グ、グレーテ姫様？！」
グレー「うむうむうむ！若い、若いぞ！お肌ピチピチじゃあ！（なでなで）…毎日毎日毎日毎日枯れ果てたジジイの顔ばかり見ていてうんざりしておったのじゃ…ああ、若い肌はハリがあってよいのう！（なでなでなでなで）」
アルス「おおおお（ぞくぞくぅ）…ひ、姫様、あの」
グレー「うーむ、よい腰じゃあ！（なでなで）」
アルス「きゃーっ！魔狼王？！」
グレー「ん、おお、すまなんだなアルス！わらわとした事が、つい嬉しゅうて…アルスとその仲間達よ！わらわと我がマーディラスは、そなた達を歓迎するぞ！…うむ、どうじゃアルスよ？少しわらわに旅の話を聞かせてくれぬか？」
老臣　「ひ、姫様！こちらの採決が…」
グレー「わかっておる！少し、少しの間だけじゃ！…どうかの、アルス？」
アルス「それはもう喜んで」
グレー「うむうむ！では、小休止じゃ、よいな皆の者！」

マーディラス城・応接の間
グレー「ふーむ…そのような大冒険をのう…」
アルス「まぁ、ダイジェスト版ですが。」
グレー「はぁ…うらやましいのう…わらわなど、ここしばらくは城の外にも出てはおらぬわ…」
アルス「僭越ながら、姫様はお一人で何もかも抱え込みすぎてはおりませんか？せめて右腕になるような人物が必要かと…」
ガボ　「フォズ様の所のカシムみてーにな」
グレー「ふふ、そう言うてくれるな…わらわも常々そう思うておるが、心から信頼できて有能な者となるとなかなかのぅ…頭の切れる乳兄弟でもおればよかったのじゃが…まあ、言うても詮無き事じゃ……そうだ、どうじゃアルス、この城に残ってわらわを助けてみると言うのは？」
アルス「は？私がでございますか？！」
グレー「うむ。わらわの見たところ、そなたには人の上に立つ才が存分に備わっておる。判断力、決断力にも富んでいると思うしな…」
アルス「姫様…ありがたきお申し出ですが…」
グレー「よいよい、戯れに言うてみたまでじゃ！…わらわがこの国を愛し、大切に思うておるのと同じように、そなたがそなたの旅や使命を大切に思うておるのはよくわかっておるつもりじゃ…残念至極ではあるが、の？」
アルス「姫様…」
グレー「ふむ、そろそろ戻らぬと、老人共が泡を吹いていそうじゃ…戻るとしよう」

謁見の間
グレー「それではアルスよ、長々と引き留めてすまなんだな！」
アルス「いえ、こちらこそ素晴らしい時間でございましたよ、姫様」
グレー「それはなによりじゃった。…よし、アルスよ！ヤングなそなたたちに、特別に褒美をとらそうぞ！」
アルス「褒美…でございますか？」
グレー「うむ、その通りじゃ！…今日この時より、そなた達はわらわの親友になることを許そうぞ！…どうじゃ、嬉しいであろう？」
アルス「何と…それはもう、望外の喜びでございますよ、我が心の友、グレーテ姫様！」
グレー「そ、そうか…よかった…あ、ああいや、うむ、困ったことがあったら、いつなんなりとわらわを頼ってくるとよいぞ、我が友アルスよ！」
アルス「姫様も、なにかお困りの事が有れば、いつでも私達をお呼び下さい」
グレー「うむ！期待しておるぞ！…それでは謁見の時は終わりじゃ、下がってよいぞアルス！」
アルス「ははっ」
老臣１「終わりましたか姫様ー！五月雨堂の売り上げが１千万をー」
老臣２「姫様ー、ここ最近、凍夜が頻発してー」
老臣３「オーク巨樹の影響がー」
グレー「じゃーかーらー！それはこう…」


アルス「うーん…グレーテ姫、かあ…まさに、我が友を守り我が道を行く〜♪な姫だったなぁ」
メルビ「立派な人物でござったなあ…それでいて堅い人物でなく、おちゃめさんというかなんというか」
ガボ　「お茶も食い物もうまかったぞ！」
アルス「…あの姫様になら、仕えてみたいって思っちまったよ……マジで惚れてしまいそうだぜ」
セリオ「――まったく、気の多い人ですね、あなたは」
アルス「うわああ！セ、セリオ？！」
マルチ「あ、セリオさんお久しぶりですぅ」
セリオ「――マ、マルチさんもお元気そうで…（ぽっ）」
メルビ「で、どうしたのでござるかな？」
セリオ「――アルスさん、貴方、ボルカノさんに会わずにマーディラスに来たでしょう。」
アルス「……あ。」
セリオ「――ボルカノさん泣いてましたよ。…それからマルチさん」
マルチ「はい？」
セリオ「――主任が、そろそろまたメンテに来なさいとの事です」
マルチ「あ、そうですね。そろそろいかないといけませんね」
アルス「もう一回フィッシュベルに帰らないとな」
マルチ「あ、そうだセリオさん、この歌知ってますか？…おっいらにおっまかっせまるちっぽ♪」
セリオ「――しっぽじゃあないよちっぽっぽ♪」
アルス「まるちっぽ☆うに〜くはやめ！…ああ、俺がツッコミ役になるとは…」
セリオ「――うに〜　うに〜く　ごっごごー♪」
アルス「だからやめ！」
セリオ「――（ふふふ、だいぶいい感じなってきましたね…）」


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